宝探し
「競争ってわけじゃないんだな」
放り出された俺は険しい道を進みながら話す。
「あくまで私は大神の監視でしかないから、手を貸すってことを期待してるならやめた方がいい」
「してないから。ただこれで本当に能力がわかるのかなって」
「それは安心して良い。狐川も夏麻も冬歩もここで能力を見つけたから」
後ろから聴こえてくる回答で信用が一気に増す。気を抜かずにさらに奥へと進んでいく。
「て、あれじゃないか?」
木の根元には『ここだよ』と言う矢印看板と宝箱とおもしき思しき箱があった。
「なんのフラグだろう」
「フラグ?」
だいぶ神月と一緒に居るようになってきたせいか、こいつが今時の言葉やカタカナ語には弱いことがわかってきた。
「とりあえず開けてみるか」
手を開け箱を開けた瞬間、辺り一面炎の渦へとなる。
「わっ!」
驚きのあまりひっくり返り尻餅をつく。
「あっち!どうなってんだよこれ!」
「どうも何もこれが能力探しの宝探し。自分の能力で消せる?」
「まだわかんねぇのにそんなことできるかよ!」
俺は着ていたジャケットを脱ぎ、消すように仰いでみるが火はいっそう勢いをます。
そんな俺に怒りでも覚えたのか意思を持った生き物のように火がこちらに襲いかかる。
ごめん、こんなにも過酷なものだったとは思わなかったよ。
死因、焼死。
そんなことも頭を過るが、何も起きず辺りの火は消えていた。
「どうなってるんだ?」
「この宝箱の持続時間は一分、その間に必死で足掻いてってこと」
「……酷い」
「いざって時の方が馬鹿力が出るでしょ?その反動で能力のカケラみたいなのが見つかればなお良しって感じかな」
それから見つけ次第片っ端から宝箱を開けていくが、得られる結果はどれも同じ。水に溺れ、風に吹き飛ばされ、雷に打たれという感じで四日間過ぎていった。




