さらに下の訓練施設
乗り込んだエレベーターが止まり、目の前に広がる世界はとても地下とは考えられないほどでありました。
「って、ここどこだよ!」
と叫び声を上げた俺の隣で冷静な態度の神月。
「一昨日来たとこのよりも下の階。ここが訓練施設になってるの」
訓練施設ってよりもジャングル。辺り一帯には、木々の匂いと水の音。そして上からは照りつける日差しのような光。足元は砂利道ときてる。
「どうやってこんなの作ったんだよ」
「逆よ」
「は?」
一体なにが逆だというのだろうか。
「先に地下に施設を作ってから洞窟が出来たの」
そうだとしても凄すぎる。普通ならその洞窟によってこの施設もろとも岩に潰されていただろう。そう思いながらも神月に続いて足を進めていく。
「待っておったぞ、小僧どもめ!」
辺りに轟く声を響かせた人物は大きな岩の上で仁王立ちをして待ち構えていた。
「あ、神月さん!お荷物お持ちします」
「ありがとう千」
「大神さんも」
「ありがとう、これから一週間お世話になります」
「はい。そういえば自己紹介がまだでしたね」
「改めて、お師匠様の一番弟子の成瀬千です!これからよろしくお願いしますね」
「こっちこそ、一週間お世話になるのに。大神錫牙です」
「挨拶も済んだし、あそこで拗ねてるお師匠様をどうにかしておいで千」
「あ!お師匠様どうしたんですか?」
「ぬぐぐぐ。千!お前は後で個別トレーニングじゃ」
「何故ですか!お師匠様〜」
大きな咳払いを一つに仕切り直しとなった。
「神月雅、大神錫牙。二人にはこの施設のどこかにある宝を探してきてもらう」
「宝探しですか」
後ろで組んでいた右手だけを出して一を作る。
「期限は一週間、食料や寝床はこの中にあるのを使って良いこととする。二人とも励むように」
そうして長い一週間が幕を開けた。




