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稲荷神社の妖達  作者: 朝凪
能力編
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地酒との取引き

「それで今回はどんな面倒ごとじゃ?」


「面倒って……」


一瞬肩を落とす。が、そんな時間ものともせずに切り替えて提案をする。


「依頼は二つ。一つは大神錫牙の戦闘に使う武器の調整。もう一つは大神錫牙の能力を引き出すこと」


「報酬は?」


「四季に買いに行かせた地酒三本」


この言葉にお師匠様の眉がぴくり動く。


「五本じゃ」


今度は神月の眉がぴくりと動くが、しばらくの間をおいて。


「……後で買ってくるよう頼みます」


その言葉に満足したのか、お師匠様は小さくガッツポーズを右手でするとすぐに咳払いをし元の調子に戻る。


「それで目星はついているのか?」


「全く。なにも得られていません」


少し驚いた様子を見せる。


「珍しい。お前が一ヶ月一緒にいて見つからないのならないんじゃないか?」


「確かに大神には能力はないのかもしれない。けど探してみるだけの価値はあると思います」


「ならば期限は一週間。その間に能力のかけらを引きずり出せ」


「お力添え感謝します」


その場で神月は深く頭を下げる。


***



何故こんなことに?

二日後の今日、俺はまた洞窟へと神月と一緒に向かっていた。俺には「一週間泊まる準備だけしといて」と言われて後のことは四季や狐川達がどうにかすると家を追い出された。


「心の準備はいい?」


「……あんまり良くない」


「良いみたいで何よりだ」


「本当に聞いてた?」


エレベーターに乗り込み再び下へと降りて、前回よりもさらに下に降りている感覚になる。そうこうしているうちに、エレベーターは指定階へと到着し扉が開かれた。

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