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夢喰少女  作者: うすたく
地獄
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絶望

「ここ・・・は?」


 夢の扉を開くとそこには絶大の広さを誇る海が広がっていた。


「おそらくこの夢の所持者は漁師や航海士それか趣味で釣りをやっていたりするのだろう。」


 これがクロネの言っていた精神状態や脳によって左右されるというものなのだろう。


「ここまで海が広がっているとなると、相手は魚よね。」


 千羅の質問にクロネは頷く。


「ここが夢なのか・・・思夢はこの現象にあったんだろ?」


「死と隣り合わせだったんだから、そんなに笑える事じゃないんだけどね」


 思夢は少し顔を俯ける。


「な、なんか・・・ごめんな」


「え?あ、いや、全然大丈夫大丈夫。」


「来る・・・」


 千羅が何かを呟きながら海を見つめる。


「来るって・・・なにが?」


 ズドォォォン!


 とてつもない量の水しぶきが上がる。


「ピュロロロロ、どうかね?夢をぶち壊された気分は・・・」


 人の肉体を手に入れた巨大なサメは、夢の所持者である男性に声をかける。


「ひ、ひえぇ!お前は誰なんだ!」


「名乗る様な名前は無い。ただ、お前ら人間からは<夢食怪物(ドラール)>と呼ばれているらしい。」


 そのサメは男性に向かって大きく口を開ける。


「まずは手始めに・・・」


 ズピュゥゥ!!


 蒼い光線が男の人にめがけて飛んでいく。


 チュドォン!


 しかし、その光線は軌道が大きくはずれて暴発する。


「な、なにが?」


 千羅は男の目の前に立つ。


「消えろ夢食怪物(モンスター)!!」


「き、貴様!どこから湧いた・・・」


 思夢の時と同じ反応であった。それだけ夢喰少女とはイレギュラーな存在らしい。


「答える価値もない・・・」


「まぁよい。貴様もろとも消すだけだ。」


 サメは再び口を大きく開ける。


 ズドォォォ!


 千羅は放たれた光線を華麗に避ける。


「千羅さん!大丈夫ですか!?」


「えぇ、このくらいなら簡単に避けられるわ。」


(いつ以来かしら、こんなに楽しく戦えるのは・・・。仲間がいる、そんな事がこんなに心強くなるなんて・・・)


「らえっ!」


 チュドォン!


 放たれた弾丸はサメの口の中に入る。


 ズドォォ!!


 口内で弾丸は大爆発を引き起こす。


「ピュロロロロォォ!」


 追撃をかます様に千羅はサメに接近して行く。


「死ねぇぇぇ!」


 チュドォォン!


 刹那、千羅はサメの光線によって吹き飛ばされた。


「な、なにが・・・」


「ピュロロロ。あれだけ接近されたら、当ててくださいと言ってる様なもんだよなぁ?」


 ざまぁみろと千羅を見下すサメ。


「ダメだ!このままじゃ千羅が狩られる!」


 クロネは目を大きく見開いて千羅を凝視する。


「負けるものか・・・」


 千羅は銃を空高く放る。


「あれは、私の時と同じ・・・」


 思夢は自分が助けられた時の光景と照らし合わせていた。


「これで・・・とどめ──」


 スドォォォォ!


 紫に染まったレーザーが千羅を突き刺す。


「がはぁっ!」


 千羅は思わず血を吹き出し、その場に倒れ込む。


「せ、千羅さんっ!!!」


 華矢は決死の思いで千羅の名前を呼ぶ。


「嘘・・・でしょ?こんなことってある?」


 先程まで立っていた千羅の体は上半身と下半身が分裂していた。


「うっ、う、うわぁぁぁぁぁぁ!」


 思夢は悲鳴をあげる。


「そこにもいたのか。こいつと同じ目に合わせてやるよ。」


 サメはクロネと思夢、そして華矢の方に顔を向ける。


 キュウィィィィン・・・


「全く、迷惑かけさせんなよな・・・しゃがめ!」


「「えっ!?」」


 後ろから突然聞こえた声に思夢と華矢は不意をつかれながらもその場でしゃがみ込む。


「てぇい!」


 ズシャァッ!ズシャズシャズシャズシャッ!!


 瞬間、目の前にいた巨大なサメは深い傷を負い、滅多打ちにされる。


「へへっ、ちょろいちょろい。」


「私はいらなかった様ね・・・」


 続いて後ろから深緑の髪色の少女が現れる。


「お前がおせぇんだよ。」


 彼女達は夢の所持者である男に駆け寄る。


「これでもう大丈夫だ。クロネ、夢を解いてやってくれ。」


 クロネはその少女に駆け寄る。


「君達に聞きたいことはたくさんあるけど、それは後にしよう。桐生思夢、剣見華矢、今日は迷惑をかけたね。親が心配しないうちに帰りな。」


「「えっ、あ、はい。」」


 -------


目が覚めるとそこは見覚えのある場所だった。


「・・・公園?」


 目が覚めると、思夢と華矢はいつもの公園のブランコに座っていた。


 華矢はその場にひざまずく。


「嘘だぁぁぁぁ!」


「いくらなんでもこの結末は酷いよ。」


「私達がなにもできなかったから千羅さんは・・・」


 すると先ほどの赤髪の少女が何かを言いたげにこちらへ歩み寄る。口にした発言はとても辛辣なものだった。


「夢喰少女には絶対になるんじゃねぇぞ。あれは夢喰少女が絶対に迎えなきゃならない結末なんだ。私は千羅みたいに死んでいった奴を何人も見てきた。」


 何人も見てきた・・・それはつまり過去にも数十人もの人間の死をこの人は見ているという事


「ならなんでお前は千羅さんを助けなかったんだよ!!」


「名前で呼んで欲しい。私の名前は清斧女鏡歌(しおのめきょうか)。千羅と同じ夢喰少女、そして、私と一緒にいたのは槍見冷鳴(そうみれいな)同じく夢喰少女。」


「んな事はどうでもいいんだよ!!どうして千羅さんを助けなかったんだよ!答えろよ!」


 華矢は感情が爆発して鏡歌に怒鳴りつける。するとか鏡歌は悲しそうな表情を浮かべ、悲しそうな声で告げる。


「助けられなかったんだ。あれはあいつの自業自得。正直な話私にはどうする事もできない事だったんだ。」


 すると華矢はバッと椅子から立ち上がり、大きな声で決意する。


「なら私が千羅さんの仇をとってやる!!」


「おい!バカ!やめろ!!」


 立ち上がった華矢は鏡歌の静止を振りほどく。


「私が夢喰少女になって、千羅さんの仇を打ってやる!」


 その瞬間華矢は跪き唸り始める。


「うがぁぁぁ!」


「まずい!禁断症状だ!」


「一体あなたは何を言ってるの!?そ、それより華矢!どうしたの!?なにがあったの!?」


 しかし、思夢の言葉が通ることはなく、絶えず華矢は唸り続ける。


「あぁぁぁぁ!」


「鏡歌さん!あなたは華矢に何が起こっているか知ってるんですよね?」


「でも私にはどうすることもできない。もう手遅れだ。こいつの自業自得。あと2分もすればケロッとするはずだ。」


 未だ唸り続ける華矢を差し置いて鏡歌はその場からいなくなる。


「ちょっ!どこに・・・」


「もう私にはどうすることもできない。帰らせてもらうよ。」


 鏡歌は歩みを止めずに公園から出て行った。


「ぐああぁぁぁっ!・・・はぁはぁ・・・」


 やっと華矢の唸りが止まる。思夢は即座に近付き華矢を抱く。


「・・・ごめん、思夢・・・心配かけたよな。心配しないでくれ・・・どうってことない。もう時間も遅いし、早く帰ろっか。」


 2人がいなくなり、公園は無人になった。


 -------


「契約してくれてありがとう。今の君は後悔してるかもしれないけど、あの時の君の願いは本気だった。だから契約を成立させた。文句はないよね?」


「契約解除はできないの?」


「もちろん無理だよ。そんなのやったら今いる夢喰少女は全員いなくなっちゃうよ。」


 すると華矢は絶望した表情をする。


「何を悲しんでいるんだい?君の選択だろ?明日からは本気で活動してもらうよ。しばらくは僕が付き添うから何も心配はないよ。」


 クロネは小さな笑みを浮かべた。


夢喰少女本編開始にして始めてのあとがきですっ!

あ、なんかミステリアスな話からのこのテンションはまずいですか!?まぁ、そういうのに囚われちゃダメっすよね!


夢喰少女は1話1話のペースが「引き篭もりの俺が刑務所で変な労働を受けている。」という名の「引きガイル」よりも遅くてですね、余裕を持って執筆できそうです!

まぁ、「引きガイル」の方も既に最新話が2話できてるんですけどねっ!


小説の話をひたすらしていてもつまらないですよね、どんな話をしましょうか・・・

そうそう、最近読み始めたライトノベルがありまして、その小説の登場人物に風見玲奈というキャラがいました。この名前、実は夢喰少女の今話に登場した槍見玲奈の元々の名前と同じなんです。決してパクった訳ではありません、偶然です。しかし、キャラクターの名前に統一性を求めた結果、槍見玲奈になりました。その統一性とはなんなんでしょうね。思夢とクロネ以外の夢喰少女の名前をよく見れば分かるかもしれませんね。


結局小説の話になってしまいました。それでは、この辺であがりますか。それではまた今度!

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