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夢喰少女  作者: うすたく
青春
14/24

裏切り

「人の恋を邪魔するなんて、なんて酷いお方なのかしら?」


 ハネムーンは冷鳴を凝視しながら不適な笑みを浮かべる。


「誰かの夢を抉るような事をする奴は絶対に殺す。」


 冷鳴は槍を構えてハネムーンを睨み返す。


「可愛い顔していらっしゃるのに、怒ったら台無しよ?」


「黙れ!絶対にあんたを殺してみせる。」


 冷鳴は全力疾走でハネムーンの方へ駆け抜ける。


 距離が10m、9mと近づいた時・・・


 シュバシュバシュバシュバシュバッ!!


 無数の矢がありとあらゆる角度から冷鳴をめがけて飛んで行く。


(こいつ、今どこから!)


 しかし、冷鳴の反応速度も負けておらず、大量の槍を生成し、接近する矢へ飛ばす。


 ガキィンガキィンガキィンッ!


 矢と槍がぶつかり合う音が絶え間無く響き渡る。歩みを止めることなく走り続ける冷鳴に対してハネムーンは先ほどよりも一回り小さな弓を構える。


「今度は当ててみせるわ。」


 シュインッ!


 無音に近い空気を切り裂く音と共に、超音速を凌駕する光速の矢が冷鳴の方へ飛ぶ。


 ズシィッ!


 決死の思いで槍を出し、防ぐ体制を作ったものの、わずかにこすれ、少し方向を変えた程度になってしまった。しかし、幸運な事にその矢は冷鳴の服を少し(かす)った程度だった。


(構えがなかったら直撃で即死だった。こいつ、強いっ!)


 冷鳴とハネムーンの距離が僅か2mとなった時、冷鳴は大きく飛び上がる。


「死ねっ!」


 冷鳴は変形させて巨大化した槍をハネムーンへ投げつける。


 ギィンッ!


 こすれ合う金属音。ハネムーンは投げつけられた槍を弓本体で弾く。


「この距離で防ぐの!?」


 そんなセリフも束の間、一瞬不意をつかれた内に、多方向から無数の矢が飛び交う。


(まずい、やられるっ!)


 ザクザクザクザクッ!!


「が・・・はぁっ!」


 冷鳴は矢により串刺しになり、多量の血を吐き出す。力が完全に抜けた冷鳴はその高度から落ちていく。


 ドサッ!


 冷鳴は無惨な姿で地面に這いつくばる。周囲は血によって真っ赤に染まっていた。


「急所は外してやったわ。今度はどうやって調理してやろうかしら・・・いえ、その前にあの男の子を殺してあげないと。」


「させ・・・るか・・・」


 冷鳴は立ち上がろうとするが、矢が刺さっていて上手く力が入らない。


「あらあら、可哀想に。あの男のコが殺られるところをそこから見てればいいわ。」


 ハネムーンは翔の方へ翼を広げて飛んで行く。


「やめろ・・・やめてくれ・・・」


 翔は腰を抜かせ、地に座り込んでいる。なにも抵抗のできない状態でハネムーンが殺しにかかるのを見ているしかなかった。


「さて、行くわよ♡」


 ハネムーンは巨大な弓を翔に向ける。


「やめろ・・・」


 シュバッ!ガキィッン!


 放った矢は一瞬にして弾かれる。ハネムーンは矢を弾いた主の方へ目を向ける。そこには青髪の少女、華矢と思夢、そして鏡歌がいた。


「まったく、だらしない奴だな。槍見冷鳴(そうみれいな)さんよぉ。」


 華矢は調子に乗った様な声色でそんな事を言う。


「どう・・・うか・・・」


 声に鳴らない程小さい弱った声で冷鳴は何かを言う。


「邪魔者が増えたみたいね。まとめて逝かせてあげる。」


 華矢は周囲を見渡すと、顔を真っ赤にする。


「どうして翔也君がっ!?」


 それを聞いて思夢の顔は青ざめる。


(今日告白されたことが華矢にバレたらなんて言われるかっ!)


「し、思夢さんっ!?どうしてこんなところに・・・」


 反応して翔也も顔を赤くする。華矢は大きく深呼吸して、息を整える。


「とにかく今はこいつを倒さなきゃ!」


 華矢は剣を2本生み出す。


「覚悟ッ!!」


 華矢は猛ダッシュでハネムーンの方へ走り、剣を投げつける。しかし、何もなかったはずの空間から現れた矢によって剣は弾かれる。


(前に、思夢に見殺しにしたくないって言ったっけ・・・私の一方的な思いかもしれない。でも、今後こんな強敵が連続で現れたら・・・)


 華矢は再度剣を生成し、ハネムーンの胸元へ跳び上がる。構えた剣を後ろから前へ振りかざすものの、その攻撃も矢によって防がれる。


「こんなの見てられないよっ!」


 思夢は大きな声で今の状況からの感想を放つ。幼馴染の華矢が1人で戦っている。それも命懸けで・・・


「君も戦えば良いんじゃない?」


 クロネは冷静な顔をしながらそんな事を呟く。正直迷っていた。華矢は見捨てたくないし、夢喰少女(ドリマー)になったことがバレれば約束を破ったことになる。でも、よくよく考えれば答えは簡単な事だ。


(守れないかもしれないな・・・)


 突然頭にそんな言葉がよぎる。誰の声か?そんなのは聞く価値もない。自分の声だ。その瞬間体中に力が湧き上がってくるのを感じた。


 ドクン・・・ドクン・・・


 心臓の音がよく聞こえる。痛い・・・心が抉られるように・・・


 華矢の持っていた剣が大剣へと姿を変える。


「死ねぇぇぇぇぇっ!」


 大きく振りかぶった大剣はハネムーンの翼を切り落とす。ついにハネムーンを殺ったのだ。


「バカなっ!あり得ない・・・この私が・・・」


 しかし、華矢には息つく暇もなかった。ハネムーンがやられると同時に使用したのであろう。無数の矢が自分をめがけて飛んで来ているのがわかる。


(駄目だ・・・避けられないっ!死ぬ・・・)


 ガチガチガチガチガチィッ!


 瞬間の出来事だった。自分の方へ飛んで来ていた矢は一瞬にして地に落とされる。


「な、なにがっ!」


 華矢は理由を探るために周囲を見渡す。するとそこには変わり果てた思夢の姿が・・・


「破ちゃったね。忠告・・・」


 弓を手に持ち夢喰少女(ドリマー)となった思夢は笑顔で泣いていた。


「・・・ざけんなよ。」


 同様に華矢も泣いていた。そして震えていた。


「私の苦労は何だったんだよ!あいつを倒したと思えば思夢が私を救った?それに思夢が夢喰少女(ドリマー)になった?一体私は何のためにここまで頑張ってきたんだよ・・・」


 冷鳴が足を引きずりながらこちらへ向かう。


「はぁ、はぁ。あなたは思夢がいなかったらしんでいたのよ?・・・命の恩人に対してその態度はなんなのかしら・・・」


「喧嘩はその辺にしときな。これ以上言い合ってもなにも生まねえぞ?」


 鏡歌がさらに割り込む様に口を出す。と、クロネが大きく深呼吸をする。


「改めて紹介しようか。華矢も含めてね。桐生思夢、剣見華矢。今日から彼女達が君達の仲間だよ、槍見冷鳴、清斧女鏡歌。」


 その場にいる全員はポカーンと口を開ける。状況が読み取れなかった。


「紹介も済んだ事だし、夢を解放しようか」


 クロネが夢を解除しようとしたその時、翔也が「少し待ってください!」と静止する。一同が沈黙した。


「桐生思夢さん。改めてあなたを見て思いました。やはりあなたが好きです。どうか、もう一度チャンスを・・・」


 戸惑う一同と目に光の色を失った華矢。そして焦る思夢。


「えっ、えぇと・・・それはこういうところでやるべきじゃないよね・・・どちらにしろごめんなさい。」


 翔也はデジャブを感じさせる様にその場に跪く。


「思夢、後で話を聞かせて・・・」


 何やら邪悪な空気を纏っている華矢と恐怖心を覚える思夢。


「もういいよね。切るよ。」


 クロネが足を地につけると、普段の公園に戻されていた。時計が指す時刻は深夜の1時半。


「どういうことだよ・・・」


 華矢が冷たい声色でそんな事を言った。


 -------


「久しぶり、クロネ・・・」


 生え狂う木々の中、紺色の長髪少女とクロネが向かい合っていた。


「急にどうしたんだい?またやりたくなったのかい?夢喰少女(ドリマー)を・・・」


 その少女は薄く悲しげな表情をする。


「やるわけないでしょ?ただ、千羅を殺した人間が今の夢喰少女(ドリマー)の中にいるんでしょ?仇討ち(あだうち)。殺してやるよ。どれだけ辛い思いして私は千羅を見捨てたと思ってんだ。それを簡単に殺しやがって・・・」


 クロネは少女を見つめては口を開く。


「復讐するのかい?桐生思夢と剣見華矢に・・・。彼女達は強いよ。いくら先輩とはいえども一筋縄じゃいかないんじゃないかな?奏杖訊乃(そうじょうきくの)。」


 瞬間、訊乃はクロネの首元に杖を向ける。


「名前で呼ぶな。殺すぞ?」

まずは謝罪からさせていただきます。前回の投稿から一週間ほど経過してしまいました。本当にもうしわけございません。外せない事情があったため、投稿を控えさせていただきました。本当に失礼いたしました!

これからまた普通に投稿していくつもりなので、よろしくお願いします!

今回はこの辺で終わりにしましょう。

それでは、次回の夢喰少女をお楽しみください。

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