この乙女ゲームは攻略不可能
この世界は日本で一時期ブームになった乙女ゲーム「花咲く恋道」らしい。タイトルだけで見たら別にそこらの乙女ゲームだろう。
だがこのゲーム恐ろしく作りこまれていた。
まず主人公 皆橋 優香は皆橋会社の長女。温厚な性格で学園の皆からの信頼も厚い。続いて攻略キャラその人数はなんと30人。
しかも一人一人のストーリーの分岐点が約1万通り。開発者側も「いやーこのゲーム作るのに、普通の乙女ゲームの数十倍掛かりましたよ。」と言っていた。逆によく数十倍で済んだなと言いたいぐらいである。そしてそのせいで攻略本が出せないためプレイヤーは己の力だけで攻略しなければいけない。
もう一つ攻略本を出すのを諦めた理由がある。それは乙女ゲームなら絶対に登場するであろうキャラそうライバルである。
ライバルキャラは攻略キャラによって色々変わってくるがやはりと言うかストーリー上で出てくるポイントが完全ランダム性であり、しかも攻略キャラによってライバルの数が違う。全てを通すともう何通りあるのかさえ開発者側もわからない。で俺はその中でも一番人気のキャラになってしまった。高橋財閥の次期跡継ぎ高橋 幸一郎。最初の方でらしいと言ったのは俺はこのゲームを殆ど知らないのである。しかしこの家の書斎で何故かこのゲームの説明書があったのでなんだろうと見たら前世の記憶とともにニュースなどで話題になったタイトルであったためわかったのである。俺、幸一郎の性格はいつもクールで他人を寄せ付けない威圧のオーラを纏っているらしい。で俺が入学する小学校は小中高大一貫の名門お坊っちゃまお嬢様学校である。俺は三月に記憶を取り戻したため受験と聞いて少し身構えたがまあ大学受験で東大に行った俺なら大丈夫だろう。てかあれ?何で死んだんだっけ?と考えていると思い出したくない過去が蘇った。
「よっしゃぁ!!東大合格ひゃっほーうひょぉぉぉ」と言って暴れていると足下のプリントに足を滑らせてテーブルの角に頭をぶつけてそのまま逝った。
………え?俺…ナニシテンノ?ハズクネ?
流石にあの死に方はないわー
と考えていると夕食の準備が出来たらしい。
居間に行くとテーブルを囲んで俺を含む四人いた。右から俺の父で高橋 総慈 威厳はあまり無いが一応高橋財閥の総取締役である。次に俺の母の高橋 華蓮母親の方は警視庁総監の伊藤 淳 の娘である。そして最後に俺のいとこである高橋 麗幸 漢字を見たときはレイコウってなんか提灯アンコウ見たいだねって言ったら麗幸にしばかれた。
「それでレイコって読むのよ!!」と言われた。てか初対面の相手を殴るとはなかなかの女だ。一応同い年だが。説明書によると幸一郎を攻略キャラにすると高確率でこの女がライバルになるらしい。そして何故かいつも付きまとってくる。入試のときもかなり近かった。
「入試はどうだった?」と母が言ったので
「まぁ満点かな」と言ったら
「流石パパの息子だ!!」と父に言われた。パパってのに少し違和感はあるがな。
「幸ちゃんはいいよねぇ〜頭良くて」と横でレイコが言ったので
「そう言うお前はどうなんだ?」と聞き返すと「うーん満点かな?」と言いやがった。嫉妬になってない。俺は夕食を終えると風呂に入りその日は早く寝ようとしたらレイコが俺の部屋に入って来て
「一緒に寝ようよ」と言って強引に俺のベッドに入ってきた」
「俺に拒否権はないのかよ…」と小さい声で言った。