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今日から学校と仕事、始まります。①莞

女子中学生と一緒に座りたい

作者: 孤独

「女子中学生と一緒に座りたい」

「は?」



ここはとあるゲーム会社。そのグラフィッカー達(3人)が集まった一室で、変態の一言を表す発言する小さな大人がそこにいた。


「瀬戸、突然に何を言い出しやがる」

「最近その。魅力溢れる大人な子ばかりを描いていたから、そのなに。たまには元気いっぱいで、活発さと子供らしさを併せ持つ。女子中学生に触れ合いたくなったんです」

「すいません。真面目な仕事の話をしているのに、くだらない一言で雰囲気をぶっ壊さないでください」


弓長晶ゆみなが あきらはとんでも発言をする瀬戸をデコピンして、仕事に集中させる罰を与えた。

腕は確かであるが、いかんせんムラが酷いこのエロ絵師。


「しょうがねぇな。瀬戸。お前には特別に酉さんの中学生時代をテーマに作られた素晴らしい酉さん画像集(11歳~15歳まで記録)を特別に2週間貸し出してやるよ」

「松代さんも瀬戸くんに負けないくらいの変人アピールをしないでください!!本当に、気持ち悪っ!!」


この会社は一体大丈夫なのだろうか?いやいや、この変人共だからこそ可笑しいことを平然とやってのけるのだろう。

松代宗司まつしろ そうじは先輩として、瀬戸に忠告をする。



「グラフィッカーでありクリエイターたるもの。自分の好きは自分で作るべきだぜ。それが腕も、覚悟も、身につけられるコツだよ」


真っ当な意見である。


「お前の得意な絵でもいいし、3Dモデルにしてもいい。なんなら油絵にしてもいい。とにかくな。俺は酉さんが大好きだからな、あの方を妄想すれば未来だろうが、過去だろうが、その後光たる姿を感じ取れるのだ!!」


気持ち悪いが、真っ当な意見である。

確かにそうだ。しかし、瀬戸はあえて松代の言葉に反旗するように貫いた。



「僕は今、本当に女子中学生と触れ合いたい!!」

「お二人共、警察を呼びますね」

「松代さんの言う事は分かる!僕が発○したくなる子なら、僕は描ける!けど、もっと!より!感じるようにするには!!間近で触れ合うしかないと思うんです!見た目以外にも、肌の温もり、幼さと大人さの中間的な匂い、さわる髪の質、健気な表情と心情!!それらをより僕が理解できれば!さらなる、女子中学生への高みへと行けるんです!!」

「カッコイイことを言っていますけど、100%変態ですよ!!」


弓長のツッコミも間に合わないほど、暴走する瀬戸。クリエイターの多くはぶっ飛んだ連中の巣窟。弓長はなぜ、自分が平均値以下でありながらこの中に加わっているのか、不思議に感じる時でもある。


「よく言ったぜ、瀬戸。どうやら、その時期が来ているというのは分かる。やらねば成長にならない」

「松代さん。先輩として、止めてやらないんですか?」

「弓長。お前もツッコミだけじゃ疲れるだろ。女子中学生がいっぱい現れて、なおかつとても近い距離になれるスポットや方法を考えろや」

「私にですか!?そんな無茶なことを……ちょっと待ってくださいよ」



犯罪行為をしたいという男に、犯罪行為を教えると教えた側にも罪が届きそうな気がする。

とんでもない無茶振りだ。こいつ等、変態行為をしたいのにその手段を欲している辺り、性質が悪い。勝手にやってくれと言いたいくらいだ。


「うーん、そうですねぇ」


あれ?もしかして、私が一番その目的に達するまでの行為を考えているような気がしますね。2人共、桃源郷に行っている目をしてます。とりあえず、法的に触れない範囲でセクハラできる手段として


「あ!……良い方法があります。上手く行くか五分五分ですけど」

「おおっ!さすが、弓長!グラフィッカーでありながら、営業と企画も兼ねるマルチな才能!」

「会社の運営も、経理もこなせる弓長!カッコイイ!」

「私は器用貧乏タイプですよ」


あ、やっぱり言うのを止めようかな。本気でやりそうなんですけど、この2人。法的にはセーフとはいえ、アウトみたいな行為をするかもしれない。



「バスを使うんです」


弓長晶が考えた、女子中学生と一緒に座るための作戦はこうであった。


1.

込んでいない時間帯を選び、バスの始発から2人座席の位置を確保します。人間の心理からいって、空いている席があればそこに人は座っていくため、一人で座れる事でしょう。


2.

バスの選び方として、そこには中学校の近くを通るバス停を選ぶ事。これがなければまず不可能。


3.

中学生や高校生達の団体がどこからか乗ってくることを期待します。部活の大会や学力試験などの時期を見計らえば必ず団体は現れます。彼等は乗客達に迷惑をかけないよう、空いている席に座るため、嫌でも二人座席にも座ります。座る相手を選べないのが欠点な作戦ではありますが、現実的に可能でもありますし法的にもなんら問題なく一緒に座れます。



「ふぁっ!?すげぇっ!!即興のくせにまとも過ぎる作戦だ!」

「凄い凄い!弓長!!本当に女子中学生と一緒に座れる作戦だよ!!中学時代の僕ですらできなかった事をやれる夢の作戦だ!僕はやってみるよ!それで、どのバスを選べば良いのかな!?」

「……あとでコッソリ教えてあげます」




その作戦の話から4日後。ついに作戦を実行する時が来たのであった。


「グッドラック」

「うん!行ってくる!!」


始発のバス停まで見送りに来た弓長。その表情はどうか、犯罪は起こさないでくれと願う顔であった。なら行かせなければ良いと後々に感じることだろう。

瀬戸は作戦通り、2人座席に座って目を閉じた。興奮して鼓動の音が聞こえてしまいそうだ、まだ隣に誰も座っていないのに。

このバスに乗ると、4駅先のバス停から女子中学生達が乗ってくるらしい。冬の大会の会場に向かうため、バスと電車を乗り継ぐ。終点まで隣にずっと女子中学生がいる。そう思うと、この夢の時間が本当に起きて欲しいと思う。



プーーーーッ



そして、そのバス停に辿り着いて閉じていた目を開く瀬戸。窓から見ればそれはもう眩いばかりの、凛々しい顔つきで大会に臨もうとしている女子中学生達。その数17人。これはもう空いていても、間違いなく瀬戸の隣に座る女子中学生が現れる。期待に胸がさらに膨らんだ。

ゾロゾロと乗り込んでいき、女子中学生達は予想通りどんどん2人座席がある奥の方へやってくる。人間の心理的にそうなっている。凄い!


「邪魔になっちゃうよー」

「みんな、空いている席に座りなさーい」



キターーーーーッ。キタッ!キタッ!!イェッス!!これは絶対に席が埋まる言葉!!絶対に!!僕の隣に……


「じゃあ、私はここにするー」


ドキドキする心に対し、瀬戸はその時まで冷静な姿で座ったまま。それしかできないし、してはいけない。

そんな瀬戸の葛藤を知らずに一人の女子中学生が瀬戸の隣に座った。瀬戸は鼻で嗅いで確認し、知った。それだけでさらなる興奮が来た。くだらない初体験だった。



ほ、ほ、本当に僕の!僕の隣に女子中学生が座ったーーー!!こんなに近い距離で、女子の香りを体験できるなんて!!



進行方向の正面に顔を向けていたが、ほんの少しだけ横に顔を向ける。2秒ほどでもしっかりと、その凄さを感じ取れた。

結構、可愛い子が座っている!僕の事なんか眼中にないけれど、今日に賭けている熱意と仲間の大切さを知る優しさを現している心の内が読み取れる。優しさが零れ落ちているけれど、時に厳しさを持つ。自分に妥協をしないし、追い被るような子なんだね。喋る声は僕の好みで、キツくない透き通っている声だ。絶対に歌が上手い子だよ!君の声でアニソンを聞きたい!あまり頭は良くないというか、天然気味なのかな?ところどころ気の抜けた雰囲気も見える、それがこの子のもう一つの個性かな



わずか2秒で妄想を広げられる瀬戸にさらなる嬉しい出来事が起こる。


「あっ」


バスが急カーブに差し掛かり、人が少し揺れた。その勢いで瀬戸と隣の女子中学生は服を介していたとはいえ、1秒弱。

触れ合った。



「っっっ!!」



口を手で塞いだ瀬戸。叫びたくなった。

肌が柔らかいね。抱きつきたくなった。服の香りもいいし、制服姿って良く見るとやっぱり良いよね。高級感や品性の良さをより知れた。良い生地使ってるし、ちゃんとクリーニング出してますね、お母さん。美しさを飾っている子って本当に魅力的だ。

こっから、エロ展開にできないかな?いや、止めておけ!落ち着くんだ!赤の他人でしかない女子中学生に悶え苦しむプレイとは甘酸っぱい体験だろう。このトキメキこそが純真さという、大人にはない耀く宝石!!僕は見る事ができたんだ。




「…………」



終点まで一緒なんだよねぇ。離れたくないけど、ヤバイ。インスピレーション来たよ、これ。今の君よりも、頭にいる君が疼いてきた。



瀬戸はまた一回り大きくなった。

そして翌日、この体験を下に描いた一枚絵を松代と弓長に見せてあげた。



「へーっ、瀬戸くんらしからぬストーリーを感じますね」

「何かを掴んだようだな」



その一枚絵は、

バスの中、女子中学生と男子高校生が一緒に座っている絵。だけれど、女子中学生は周りのお友達と顔を合わせながら楽しく喋っていた。一方で男子高校生は窓の外を見ているようで、窓で反射して見える隣の子を見ているようでもあった。

そして、女子中学生の右手と男子高校生の左手は周りには伝わらないように軽く握り合っていた……。まだ、周囲には伝えられないカップルのようであった。







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