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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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耳各々

耳各々

姉が耳掃除をしている。


……と、思うのだが、なんだかヘンだ。

耳の中にピンクの綿棒のようなものを突っ込み、しばらく、じっとする。


耳から綿棒を取り出し、眺めては、また突っ込み、じっとする。


「……なに、してるの?」


「んー?耳掃除」


綿棒を突っ込み、じっとしたまま答える。


「それ、綿棒?」


「いや、耳粘棒。使う?」


一本もらう。

綿棒の綿にあたる部分が、ペタペタした粘着質な材質でできている。

なるほど、耳垢をくっつけて取るわけか。


耳に突っ込みペタッとくっつけて離す。


あ、なんだか、快感。


ペタッ。ぱり。ペタッ。ぱり。ペタッ。ぱり。と三回ほどペタッとして

耳粘棒を取り出して見てみたが、耳垢はちっとも取れていない。かろうじて、耳の産毛が2本取れた。


なんだか、耳がむず痒くなってきて、私は耳かきを引っ張り出し、耳に突っ込んだ。


「あー。すっとした」


「いいなあ、耳垢が乾燥タイプだと、耳掃除楽しそうだね」


と、姉が言う。

耳垢を羨ましがられるなんて、多分、人生で一度きりだろうなあ。

と、思う。


耳垢だって人それぞれだし。

人生は思ったより、深い。

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