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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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両手の達人

両手の達人

「あれ。左利きですか?」


握力測定の係のお兄さんに聞かれた。


「いえ、右利きですけど…どうして?」


「左の方が、握力が強いから。利き手の方が強いんです、普通。」


じゃあ、私は普通じゃないと言うのか。


多少、ムッとしたが、まあ、いい。

普通じゃないことなんて、世の中いくらでもある。


例えば、保健所主催のヘルスアップスクールが無料だから、と、わざわざ有給休暇を取って参加した、今日の私とか。

わりと、普通じゃない。


しかし、久々に握力やら肺活量やら計ってみたくなったのだから、しょうがない。


計測結果を受け取り、ぶらぶら帰る道すがら、ふと、小さいころ、左手を骨折したことを思い出した。


しばらくの間、スプーンが持てなかったので、母にごはんを食べさせてもらったのだった。


…おや?

何か変だな。


帰宅すると、すぐにアルバムをひっくり返し、自分の写真を探す。


骨折してギプスをつけた写真がある。

横に「佳代、3才、骨折中」と書いてある。


それより前の写真を探す。

「佳代、2才、誕生日」

と書いてある写真に写る私は、左手にフォークを持ち、ケーキを食べている。

その頃の写真を見ると、明らかに左利きなのだが、

3才の骨折を境に、フォークは右手に写っている。


どうやら、私は生れつきは左利きだったらしい。


試しに、昼食時、箸を左手で持ってみた。

味噌汁のとうふを木っ端みじんに破壊しただけで諦め、普通に右手に持ち替えた。


やはり、普通が一番なのかも知れない。

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