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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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月も星も

月も星も

 きらきらと輝いて見えたんだ、あなたと初めて出会ったとき。世界が急に明るくなって僕はまぶしくて目をつぶった。目をつぶっても瞼の裏にあなたはもう焼き付いてしまって、僕は眠っている時まであなたを見つめている。


 出来ることならあなたを小さく小さくして、僕とあなたしかいない暗いところに行きたいんだ。そしてそこであなたが死ぬまで一緒に生きる。あなたが死んだら僕もすぐに死ぬよ。あなたがいない世界なんて僕には必要ないから。

 でも、それは満たされることのない欲望、口に出してはいけない夢。

 だってあなたには旦那さんがいて二人は愛し合っているんだもの。だけど僕はあなたを世界一、誰よりも愛してる。それは確かなことだよ。何があっても、それは確かなことだよ。


「あら、この子、笑ったわ。もう目がみえるようになったのかしら」


「まだ産まれて一週間じゃないか。まだよく見えていないだろう」


「そんなことないと思うな。この子が産まれたとき、私たち、見つめあったもの」


 そうだよ、僕はあなたを見つめて、あなたは僕を見つめて、世界は一瞬だけ二人だけのものになったよね。


「私、この子のためならなんだってできるわ。この子のためなら月も星も買ってあげるわ」


 そんなものはいらないよ。僕はあなたがいてくれれば、それだけで生きていけるんだ。月も星もなくても大丈夫、僕の太陽はあなただけだから、ママ。

 いつか僕が大きくなって、素直でいられなくなっても、誰かと結婚して子供ができても、生涯にたった一人、僕のママはあなただけだから。

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