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夜よりも暗い日
夜よりも暗い日
どうして誰も分からないんだろう。この世に孤独以外の人間関係などないのだと。
家族、友達、先輩、後輩、ご近所、恩師、親戚、皆まやかしの キズナでしかない。信頼関係、愛情、同情、そんなものは蜃気楼だ。
なのに皆それを知らない。知ってる人も目をつぶり、見ないふりして日々をいなしている。皆、孤独を抱えて 生きているのに。
人に迷惑をかけることで人はようよう生きられる。優しさや慈愛などで腹はふくれない。動物にも植物にも迷惑をかけることで生きている。
人間は一人では生きられないなどというのは「人に迷惑をかけねば生きられない」という意味でしかないのだ。
私は真っ暗な世の中で孤独を噛みしめて生きている。いつも笑顔を絶やさず、人当たり良く、皆のために力をつくす。皆、私を博愛精神を持つ人物だとでも思うことだろう。けれど私の中には、暗やみしかない。皆の中にだって、闇しかないのだ。
それに気づいて初めて、平安を得ることができる。
暗闇は恐ろしいものではない。
私たちは暗闇からやってきて、暗闇を生き、そして暗闇に還るのだから。




