イブの研究
イブの研究
街にバカップルがあふれだす今宵へようこそ!
少子化の原因はバカップルの減少ゆえとも言われ、絶滅危惧種とも言われたバカップルは、未だ絶えることなく雌伏していたのだ。これはバカップル研究家として本当にうれしいことである。
カップルとバカップルの区別は様々、論議されている。普通のカップルにおいても幾ばくかはバカップル的要素を擁するからだ。
たとえばバスの座席に並んで座った時に、カップルの一方Aが、もう一方のBの肩に頭を乗せる、などはバカップルのみならずカップルにも見られる行動である。
バカップル特有の行動として、同じくバス内の例えをあげれば、一人掛けの席に二人で無理矢理座るという動きを見ることができる。この場合、大人二名では座席からはみだすため、一方のAは肘おきに座ることとなる。肘おきは耐荷重オーバーでミシミシと音をたてるが、Aは気づかない。
ここにカップルとバカップルの差があるというのが多方の見地である。
周囲の物事が目に入るのかどうかである。
これは誤解されがちであるが、人目を気にするかということとは少し違っている。
バカップルはもちろん人目を気にしないが、カップルの中にも人目を気にしない二人もいる。手を繋ぐ、ハグをする、キスをする。それらを人前で行うかどうかは、各々のカップルの自由意思にまかされるところである。
バカップルの特異性はカップルの行動に上乗せするような行動が加味されるところにある。これも例を引いてみよう。
カップルが手を繋いだ場合を、バカップルでは、繋いだ手をしばしば繋ぎなおす。また、AがBの手を握り胸の位置まで持ち上げては戻す行為を繰り返す。
このような行為は多動的で幼児性の発露と見られる。バカップルが成人している場合、バカップルがカップルと相違する要素として多動性は大きな判断要因である。
肩を寄せあった時にも、ただ寄っているのみではなく、離れては寄り、あるいは手を繋ぐ行為に移行し、すぐに手をはなし肩を寄せる。延々とそれを繰り返すことがある。また、あるバカップルの行動が報告されて……
あ、目の前のバカップルがバスを降りてしまった。残念だが本日の考察はここまでだ。
では、皆様よいクリスマスを。