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草臥れた脳みそは
草臥れた脳みそは
胸の中におが屑が詰まっていて喉元までせりあがってくる。
吐きそうになるのをなんとかこらえると、おが屑は進路を変えて頭に向かう。
脳みそは無力だ。すぐにおが屑にまみれて力を失う。なにも考えられず、体を動かす神経もにぶる。おが屑は脳みそから全身にまわる。悪い薬のように。
手足の先までおが屑が詰まったかかしのような私を、私の脳みそは他人事のように眺める。なんの感慨もいだかずに。
おが屑を払い落とさなきゃ。おが屑を払い落とさなきゃ。どこにもいけない。どこにもいけない。どこにもいけない。
おが屑が。おが屑が。私を飲み込んで私は発酵してぶすぶすと臭いガスを出し、汚ならしくねばついたヘドロになって、まわりに悪臭を振りまいて、みんなが思い知るのだ。
私の心からわき出るおが屑の不気味さを。