僕の彼女はツンデレです。
僕の彼女はツンデレです。
彼女に言われました。
「あんたなんか好きじゃないんだからね!」
僕が「はいはい」と言って彼女の手を握ろうとすると、彼女は恥ずかしがって僕から離れました。
かわいいなあ。素直じゃないところが、すごくかわいい。けど、そんなこと言うと恥ずかしがりやの彼女は「キモい、消えて」なんて言うからガマン、ガマン。
「うざい。近寄らないで」
ほら、お得意のツンの大放出です。僕が彼女の重そうな荷物を持ってあげようとすると上目使いで軽くにらんできます。
「迷惑なの」
僕に迷惑をかけたくない心情を隠したくて、こんな風に言うんです。
「いいかげんにしてよね」
早足の彼女の後ろをついて歩いていると、彼女は突然振り返りました。
「ついてこないでよ!」
「でも、ついていかないとデートにならないよ」
「デートなんかしてないから!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがっています。
「あんたと付き合ってなんかないんだからね!」
またまたかわいいことを言います。大学の入学式で初めて会ったときに彼女の方から僕と付き合いたいって言ったんですよ。「一緒に行っていいですか?」って。それで僕たちは一緒に講堂に行ったんです。
「もうやめてよ」
彼女が顔をくしゃっとゆがめました。ああ、僕が一番好きな表情です。
「もうほんとにやめて……」
彼女の目から涙が一粒こぼれます。ああ、ああ、ああ、なんて僕は幸せなんだろう。デレた彼女はほんとにかわいい。彼女はその素晴らしい涙を指で払うと、僕をにらみました。
「警察呼ぶからね」
いくらツンでもやりすぎです。僕はあわてて彼女の手からスマホを取り上げました。
「なにするのよ!」
「イタズラはだめだよ」
「やめてよ、返して!」
必死にうったえる彼女がかわいくて、すぐには返したくなくなっちゃいました。僕はポケットにスマホをしまうと、彼女からわざと離れました。
「返してってば!」
彼女が僕の腕にしがみつきます。ほら、ほんとは僕と腕をくみたかったくせに。
僕の彼女はほんとにかわいいツンデレです。




