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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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本屋酔い

本屋酔い

 本屋に入ると酔ってしまう。陶酔するという意味ではなく、車酔いのように酔ってしまう。

 目が回って少しばかり吐き気がする。だから本屋にはあまり行かない。


 なぜか図書館では酔うことはない。古書店でも。独特の年経た本の匂いが好もしい。いつまでもひたっていたい。けれど閉館時間に追いたてられ、本を数冊だけ借りて帰ることになるわけだが。


 私は本は寝床で仰向けになって読みたい派なのだ。しかし図書館の本を仰向けになって顔の上にさしかけるのは、少々、気が進まない。長年かけて本の間にはさまった塵が顔に降ってくるような気がするのだ。

 仕方なくうつ伏せで肘をついて読むわけだが、私の大いなる体重を支えた腕はすぐにしびれてしまう。仕方なく本を置き、灯りを消す。


 そうこうしているうちに、仰向けで読める本が欲しくなる。本屋へ行く。酔う。その繰り返し。


 ところが、MARUZENとジュンク堂書店だと酔わないことに最近、気づいた。図書館にいるときのようにくつろげる。


 MARUZENとジュンク堂書店に共通するのは、図書館における図書分類法があるように、その書店独自の分類法が確率していて本を探しやすいこと。棚が高く、目の前の本だけに視点が定まることなどがある。

 そのおかげで、本屋酔いしないのではないかとにらんでいる。


 にらみをきかせて本屋をぐるぐる歩き回り、酔わないことを喜んでホイホイとカゴに本を積んでいき、レジで目ん玉が飛び出たことがある。

 それからは自制して本を選ぶようにしているが。

 新品の本をじっくり選べる嬉しさは、たびたび自制を解除してしまう。だから私の目ん玉は今や出し入れ自由である。うそだけど。

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