アクセス数アップ大作戦!
アクセス数アップ大作戦!
とにかくアクセス数が上がらない。浪子のブログは閑散として、まるで平日昼間の現代美術館のようである。
はたして浪子は平日昼間の現代美術館になど足を運んだことはないので、もちろん比喩なのだが、どことなく知的でユーモアに富んでいる言葉のような気がしてブログのネタにすることにした。
『私のブログは低アクセスです。まるで平日の昼間の現代美術館みたいです。』
ガラケーから顔を上げ、しばし考え込む。しかし、平日昼間の現代美術館に足を運んだことはないので、それ以上の言葉は何も出てこない。浪子は次に最近の天気について書いてみようと思う。
『猛暑が続いていますね。クーラーをつけっぱなしで電気代が心配です。』
浪子の天気に関する所感はそれくらいだった。そこで書くことがなくなった。最近は写メも撮らないので写真も張れない。仕方なく、それだけで一記事とすることにした。記事名は『今日の事』。アクセス数は12だった。
次の日はとにかく更新回数を増やそうとした。
『こんにちは。』
『暑いですね。』
『お昼ご飯を食べます。』
『夕方ですね。』
『夕飯を食べます。』
『寝ます。』
アクセス数は29
まだ諦めず旬の話題に触れる事にした。
『オリンピックですね。盛り上がっているのでしょうか?』
浪子はスポーツに全く興味がない。アクセス数は17。
人を怒らせるような記事を書いたらアクセス数が上がると聞いた。しかし、誰かを怒らせるなんて恐くてできない。苦情が殺到したら泣いてしまうだろう。考えただけで恐くなり、この日は記事をアップしなかった。アクセス数は3。
そこで浪子はハッと気づいた。何も書かなくても訪問してくれる人が三人もいるのだということに。三人もの人が浪子を見てくれている。喜びで唇が震えた。今にも涙がこぼれそうだった。この感動こそ書くべきだ。
浪子はガラケーのキーをポチポチと押した。
『皆さん、いつもありがとう。』
アクセス数は1だった。




