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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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返らないメール

返らないメール

 かずくんはラインを教えてくれない。

「俺、スマホじゃないから」

 確かにかずくんは二つに折れるケータイを使ってる。でもケータイでもラインはできるんだよ、と言ってみた。

「めんどくさい」

 それで会話はおしまい。けっこう勇気出して聞いたのにな。がっかりしてたら、かずくんが同情してくれたみたいだ。

「メールならいいけど」

 大喜びでメアドを交換した。

 ドキドキしながらメールを送った。

 待って、待って、待って……いくら待ってもメールが返ってこない。

「あ、メールチェック忘れてた」

 ちょっと泣きそうになった。かずくんは同情してくれたみたいだ。

「次はちゃんと読む」

 メールを送った。待って、待って、待って……メールはこない。

「読んだぞ。俺はオムライスが好き」

 顔を合わせた時に返事をくれるんじゃメールの意味がない。

「また、泣きそうか?」

 全然泣きそうにはならなかった。

「顔を見て話せてうれしいよ」

 かずくんはちょっと赤くなったみたいだった。

 直接話せばいいんだけれど、でもまた、かずくんにメールしよう。そしたらかずくんは返事をくれる。私に会いに来てくれる。メールをもらうよりずっと素敵。メールがかずくんを私に届けてくれる。

 今日のメールにはハートマークをつけよう。かずくんはなんて言ってくれるだろう。また赤くなるかな。

 メールが届かないと分かっていても愛しくて、スマホを握ったままベッドに入った。

 おやすみ、かずくん。また明日。

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