アナタを独り占め
アナタを独り占め
やっと想いを叶えることができたね。アタシ、ずっとアナタを独り占めしたかったの。
アナタが他の女の子と喋るのが、ううん、他の誰とだって喋っているのをゆるせなかった。いつでも、いつだって、一瞬も離さず一緒にいたかったの。ああ、この夢が叶うなんて……。
目が覚めた。
首を回してぐるりを見てもあの人はいない。いつものアタシの部屋、独りぼっちの空っぽの部屋。喪失感半端ない。
両手を見ても、そこに抱いていた暖かい重みは欠片も感じられない。さっきまであの人の生首を抱いていたはずなのに。
のっそりと起き上がってテレビをつける。あの人がアタシに微笑みかける。
「おはようございます! 今朝のニュースをお伝えします……」
アタシは笑顔で挨拶を返す。
「おはようございます。アタシのアナタ。今日も愛してます」
あの人はシャイだから照れてしまって返事をしないけれど、大丈夫。ちゃんと知ってるから。アナタもアタシを愛してるって。
だから早く迎えに行かなくちゃ。アナタも待ちわびているでしょう? アタシの腕の中に包まれることを。
今日こそアナタのそばに行こう。今見ていた夢がそう告げたから。
アナタをアタシだけのものにしてあげるから。
アタシはカバンに小型のノコギリを入れて外に出た。




