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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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アナタを独り占め

アナタを独り占め

 やっと想いを叶えることができたね。アタシ、ずっとアナタを独り占めしたかったの。

 アナタが他の女の子と喋るのが、ううん、他の誰とだって喋っているのをゆるせなかった。いつでも、いつだって、一瞬も離さず一緒にいたかったの。ああ、この夢が叶うなんて……。



 目が覚めた。

 首を回してぐるりを見てもあの人はいない。いつものアタシの部屋、独りぼっちの空っぽの部屋。喪失感半端ない。

 両手を見ても、そこに抱いていた暖かい重みは欠片も感じられない。さっきまであの人の生首を抱いていたはずなのに。


 のっそりと起き上がってテレビをつける。あの人がアタシに微笑みかける。

「おはようございます! 今朝のニュースをお伝えします……」

 アタシは笑顔で挨拶を返す。

「おはようございます。アタシのアナタ。今日も愛してます」

 あの人はシャイだから照れてしまって返事をしないけれど、大丈夫。ちゃんと知ってるから。アナタもアタシを愛してるって。

 だから早く迎えに行かなくちゃ。アナタも待ちわびているでしょう? アタシの腕の中に包まれることを。

 今日こそアナタのそばに行こう。今見ていた夢がそう告げたから。

 アナタをアタシだけのものにしてあげるから。

 アタシはカバンに小型のノコギリを入れて外に出た。

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