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夕焼けと夜景
夕焼けと夜景
海に面したホテルの西側を残照がほのあかく染めている。ホテルの窓にはぽつぽつと暖かそうなオレンジの灯りがともる。壁を赤く照らす夕焼けと窓のオレンジが混じりあってホテル全体が光っているようだ。群青よりはまだ少し明るい色の空に、光をまとったホテルは浮いているかのような現実感から一瞬だけ切り取られたような存在感でそこにある。見ている間にも赤い光は引いていって群青の空が降りてきてホテルは宵闇に輝きを撒き散らす。夕暮時の幻想は四角く区切られた灯りから逃げて海へ出る。西へ、西へと。




