オレサマな彼、らぶほなアタシ
オレサマな彼、らぶほなアタシ
カレは、かなりオレ様だ。しかも、かなりエッチだ。
あって、一言目が
「ホテル行く?」
だ。
えええええー!?
普通さあ、デートったら、お茶したり、ショッピングしたり、食事したり。
その後、気が合えば、まあ、どうにかなる? みたいな?
オテテつないでランデブーを夢見る乙女としては、ちょっと。というか、ものすご〜〜〜〜〜く
不満なわけで。
今回は、がんばってみた。
以下、メールのやりとり。
アタシ「あいたいな(ハート)」
カレ 「いいよ。明日、駅でいい?」
アタシ「うん(はあと)」
〜〜当日メール〜〜
アタシ「あのね、今日、生理なんだけど、いい?」
カレ 「いいよ」
ぃやったーーーーー!!!!
初の!えっちなしでーとだーーーーー!!!
仕事あがりに、どきどきして待ち合わせ場所で待つアタシ。
「お待たせ。ハラ減った。どこ行く?」
カレは、やっぱりいつもどおり、オレ様マイペースだけど。
うふふ。
きょうはラブラブらんでぶーだもんね(はあと)
「どこでもいいよ」
「じゃ、焼き鳥な」
うん、うん。
焼き鳥でもいいよ。あなたの好きなところについていくよ。
「え、おまえ、もう食わねーの?」
「うん。もう、おなかいっぱい(たまには女の子ぶって小食のフリしてみよっかな)」
「じゃ、でるか」
「うん(はあと)。あ、でもぉ。もう少し、どこか、行きたいかな」
「おし。ホテルな」
「!? えええ!? 今、生理中だよ!?!?!?」
「ハラ痛いの?」
「ううん、痛くはないよ」
「じゃ、ホテルな」
「いやいやいやいや! 血だらけになるから!!!!」
「だいじょぶだって」
「大丈夫じゃないよ! シーツ汚したらおこられるよ!!」
「バスタオル敷けばヘーキ」
「ヘーキじゃないよ!!」
カレが、ぐいっと、アタシの手を握り、引き寄せる。
「オレじゃ、ヤなの?」
「ヤじゃないよお」
「じゃ、決まりな」
ぐいぐい、引っぱられていく。
やだやだやだ! このままじゃいつも通りじゃん! それに…
「だめなの! 今日、油断して、すね毛ぼーぼーなの!!!」
カレが振り向く。
やだ。
正直に言っちゃった。
やだやだ。
どうしよう、すね毛ぼーぼーとか、そんな女、あり得ないよね…。
中学高校と、膝丈スカート、くるぶし丈靴下が校則の学校で、すね毛が濃いアタシは、ずっと、恥ずかしい思いをしてきた。
泣きたくなるほどのコンプレックスなのに……。カレの前で、言っちゃうなんて。
ああ、さよなら。アタシの恋。
大好きだったけど、カレも、すね毛ぼーぼー女なんかイヤに決まってる……
「……ふっ。……いいよ、そんなの」
……ふっ。
……って。鼻で笑われた。
カレにとって、すね毛ぼーぼーなんて、「……ふっ。」でしかないんだ……。
アタシが10年悩んできたことを「……ふっ。」って……。
立ち止まったアタシの手をカレが、くいくいっと引っぱる。
「おら、どーした、行くぞ」
アタシはダッシュしてカレに抱きついた。
「っぅお!! なんだ、おまえは! いきなり!」
「なんでもなーーーーい!! いこ! いこ!」
カレの手をぐいぐい引っぱる。
もぅ、大好きだ!! あなたとなら、どこだって!! どこまででも、ついて行くぞ!!
「なんだぁ? やっぱり、シタカッタんじゃねーの? この、スケベ」
スケベ? どっちが。
アタシは、……ふっ。と鼻で笑ってみせた。
「お、余裕じゃん。おまえ、今夜は泣かす」
「そっちこそ、泣かす。負けないぞ!!」
カレがまた、……ふっ。と笑う。
「負けないって、なんにだよ」
何にだろう? なんか、しがらみ的な何か? それとも、アタシのコンプレックス?
とにかく……
「愛は勝ぁ〜〜〜つ!!」
叫ぶアタシを、カレが、げらげら笑って、見ていた。