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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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幼い夢

幼い夢

 昼寝から目覚めると家の中はしんとしていた。絵麻は覚えたてのハイハイでママを探しに部屋を抜け出した。

 いつもママがいるキッチンやリビングはがらんとして、いつもより広く感じた。部屋の壁がどんどん遠くに行くようで恐くて絵麻は逃げ出した。

 長くて暗い廊下を通って玄関に行ってみた。しんとした玄関にママの靴があったが、ママはいない。元来た方へ戻る。ママ、ママ、ママ……。家中探し回って絵麻は疲れはてた。ぺたりと寝そべってワンワン泣き出した。


「あらあら、絵麻ちゃん。どうしたんでちゅか」

 絵麻が目を開けるとママが絵麻をのぞきこんでいた。突然ママが現れて、絵麻はびっくりして泣き止んだ。

「お腹好いたかな?おむつかな?」

 ママは絵麻のおむつを触ると、そそくさと部屋を出ていった。ママ!絵麻はまた泣き出した。泣きながらハイハイでママを追いかけようと廊下に出た。

 廊下はどこまでもどこまでも長く続いていた。暗く寒く孤独だった。絵麻は泣く気力もなく床に座り込んだ。


「やっと静かになった」

 ママはほっと肩の力を抜いた。腕に抱いていた絵麻をベビーベッドに寝かせる。

「毎晩ぐずるけど、どんな夢を見ているのかしらね」

 絵麻はすうすうと安らかな寝息をたてる。ママの腕からもぎはなされた不安な夢の中をさまよいながら。

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