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おむすびころりん
おむすびころりん
麻友は幼稚園に毎日お弁当を持っていきます。みんなは給食ですが、麻友だけはアレルギーがあるのでお弁当なのです。
みんなが卵焼きやウインナーを美味しそうに食べていても、麻友はその隣でおむすびを食べるのでした。
「パパ、みんないろんなものを食べて、いいね」
ある日、麻友はパパに言いました。
「麻友もいろんなものを食べたいなあ」
麻友のお弁当は毎日、パパが作ってくれます。パパは黙ったまま困った顔で、麻友の頭をぽんと撫でました。麻友はため息をついて自分の部屋に戻っていきました。
次の日。
「うわあ!」
お弁当を開けた麻友は目をキラキラさせて叫びました。
「麻友とパパの顔だ!」
お弁当箱の中には大きな丸いおむすびが二つ。髪の毛と眉毛と目と鼻と口が海苔でできていました。
みんなが麻友のお弁当箱をのぞきこみます。
「いいな、麻友ちゃん。わたしもおむすびがいい」
「ぼくも!」
麻友は嬉しくなって見せびらかしておむすびを頬張りました。
「おいしーい」
みんな麻友を羨ましがるので、幼稚園には『おむすびの日』ができました。




