表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
532/888

てれれってってってー

てれれってってってー

 レベルアップした勇者は突然、僧侶と魔法使いの手を取り、猛烈な勢いで歩き出した。

「どうしたのさ、勇者。トイレ〜?」

 僧侶がのんびりと尋ねる。魔法使いが真っ赤になって叫ぶ。

「ちょ、ちょっと!勝手に手を繋がないでよ!アタシはそんな……あんたと手を繋ぎたいなんて……ちょっとは思うけど……」

 勇者はきょろきょろと周囲を見渡しながら早口でまくし立てた。

「早く、次のエリアに行くんだ!俺はもうこのエリアにいるわけにはいかない!」

「呪いでもかけられたのかな〜。解除しようかぁ?」

「違う!」

「やっぱりトイレ〜?」

「違う!」

 魔法使いが勇者の手を振り払う。顔だけでなく首まで真っ赤だ。

「なんなのよ、いったい!理由を言いなさい!」

 勇者はぴたりと足を止めると、うつむいてポソリと呟いた。

「アンデッドだ」

「アンデッドが、どうしたのよ」

「俺はアンデッドが嫌いなんだ!見るだけでも嫌なのに剣で切るとブニュウという手触りがするんだぞ!もう嫌だ!もうアンデッドとは遭遇したくないんだ!」

 勇者の雄叫びを聞き付けたのか、近くの茂みががさがさとなって、歩く死体が現れた。勇者は剣を抜くと歩く死体に駆け寄った。

「うおおぉぉお!」

 気合一閃、歩く死体は一太刀で真っ二つになった。

「すごいじゃない、勇者。ちっとも苦手なんかじゃないん……」

 魔法使いは勇者に近づいて、勇者の腕に鳥肌が立ち、ぶるぶると震えていることに気づいた。

「……わかったわ。早く、行きましょう」

 三人はアンデッドに遭遇しないように気を付けながら次のエリアに移動した。

 勇者は絶望した。

 次のエリアはピラミッド。アンデッドの巣窟だ。バタン、と大きな音をたて勇者は地面に倒れふした。

「勇者〜。疲れたの〜?回復しようか〜?」

 のんびりと尋ねる僧侶の声を勇者は遠くに聞きながら、アンデッドのいない夢の中へと旅だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ