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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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クリスマスの贈り物

クリスマスの贈り物

 クリスマスの朝、トントゥは大忙し。

 サンタクロースのお手伝いをする妖精のトントゥは、真っ赤な衣装に身を包み、一年をかけて世界中の子供たちに贈るプレゼントを準備します。トントゥたちはクリスマスイブまで大わらわです。でも本当に忙しいのは、クリスマス当日の朝なのです。


 サンタクロースはプレゼントを配り終えてヘトヘトになって帰ってきます。トントゥはサンタクロースを出迎えて赤い上着とブーツを脱がせ、ベッドに送りこみます。それからがトントゥの出番です。

 同じく疲れはてているトナカイに飼い葉をやって藁のベッドを作ってやります。煙突の煤にまみれたソリを磨いて納屋にしまいます。それからソリにわんさと積まれた大きな袋をいくつも下ろして暖炉の前に持っていきます。

 袋の中には、世界中の子供たちからサンタクロースへ宛てた手紙が入っています。ドイツ語、英語、ドラビダ語、日本語、スワヒリ語、その他もろもろ。数えきれない色々な言葉です。しかしサンタクロースはフィンランド生まれのフィンランド育ち。外国語はわかりません。

 そこでトントゥたちがすべての手紙を翻訳するのです。その為にトントゥたちはいつも語学の勉強をさぼりません。その成果がクリスマスの朝、発揮されるのです。

 トントゥたちは手分けして手紙を翻訳します。夕方近く、サンタクロースが起き出すころにはすべての手紙をフィンランド語に翻訳し終わって、サンタクロースはシナモンロールとコーヒーで体を暖めてから、暖炉の前で手紙を読むのです。

 その時のサンタクロースの嬉しそうな顔!トントゥたちの疲れは、あっという間に溶けて消えます。


「さて、トントゥたち」

手紙を読み終えたサンタクロースの声に居眠りしていたトントゥたちは慌てて姿勢を正します。

「さて、トントゥたち、わしらは明日から冬の休みだ。お前たちは何をするんだね?」

 トントゥたちは答えます。

「もちろん、サンタクロースが書いた手紙の返事を翻訳しますよ!」

サンタクロースはますます嬉しそうに笑い、トントゥたちの頭をなでてやりました。

 それはトントゥたちにとって何より嬉しいプレゼントなのでした。

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