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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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ウはうどんのう

ウはうどんのう

「うどん!」


「はい、憲太の負けー」


 憲太は首をひねり「うどん……」とつぶやく。


「だから、うどんは最後が“ん”だろ。しりとりは、んがついたら負けなの! いい加減覚えろよ」


 四年生の武瑠は三つ年下の憲太と遊ぶのがあまり好きではない。とろくさいし、すぐ泣くし、足も遅いからだ。今も憲太は目に涙を溜めてそれが今にも決壊しそうだった。


「ほら、泣くなよ。なんか別の遊びにしようぜ」


「やだ! しりとりがいい!」


「そんなこと言って、どうせまたお前が負けるんだぞ」


「負けないもん!」


「泣いても知らないからな」


「泣かないもん!」


 武瑠は、ふうっと溜め息をつく。


「じゃあ、しりとり。り、な」


「りぼん!」


「……お前なあ。わざとか? わざと負けてるのか?」


「負けてないもん」


「お前なあ」


「んがついたら勝ちなの!」


「はあ? 勝手にルール変えるな!」


「勝手じゃないもん!」


 両手を握りしめて涙目で訴える憲太の姿を見て、武瑠はまた溜め息をつく。


「はいはい。じゃあ、んから次始めるわけ? ないよ、そんな言葉」


「ある」


「なんだよ」


「んどう」


「はあ?」


「んどう。今日のお昼ご飯、んどう食べに行くってママが言ってた」


 武瑠はさらに大きな溜め息をついた。


「じゃあ、そろそろ帰るか。んどう食べに行こうぜ」


「んう!」


「もういいから、それは」


 武瑠は憲太の頭を軽く叩いた。憲太はニイっと笑って武瑠の後をついて走った。

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