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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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終わらない秋桜

終わらない秋桜

秋が来るとマナミは庭に出て秋桜が咲き始めるのを心待ちにする。

赤トンボが飛び回る中、風を見ながら立っている。


秋雨前線が去ったころ秋桜が咲いた。

マナミは花を摘む。ピンクの、オレンジの、紅の、白の秋桜を摘む。


たくさんの花を抱え部屋にもどる。そうして押し花を作る。


新聞紙とテイッシュで包んで電話帳にはさむ。その上に百科事典を置いたら、あとは待つだけ。マナミはゆっくりお茶を飲む。


壁にかかった秋桜畑の絵は毎年つくる押し花で描き続けた。

あの人と二人で行った秋桜畑。もう十年も前のことだ。けれどあの日のことはこの絵を見れば思い出せる。あの人はもういないけれど、思い出は色褪せることはない。


絵はもうすぐ完成する。来年か、再来年か。

マナミは秋桜を心待ちに歳を重ねる。自分の心も押し花にするかのように。

そうして広々とした秋桜畑を心の中に描いていくのだ。

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