こんな夢を見た
こんな夢を見た
どこまでもキラキラしい世界だった。足元から、見上げる空中まで金色だった。
その中でも一際かがやかしい階段が目に留まった。どこまでもどこまでも高く伸びている。私はそこに行くのだと知っている。
階段に足をかけようとしたその時、後ろから袖を引かれた。
振り向くと、そこには汚いおじいさんがいた。
襤褸を体に巻き付けただけ。裸足でハゲ頭。手に大きな袋をぶら下げている。
その袋がさらに汚い。真っ黒で触ると自分まで黒く侵されるだろうとわかった。
おじいさんは、その袋を私に差し出す。私に受けとれと言う。いやだ、そんな色に染まるのはいやだ。私は受け取らない。
おじいさんはぐいぐいと私に袋を押し付ける。私は走りだし、階段を駆け上る。どこまで続くのか先も見えない金色の階段を。
走っているうちにキラキラはさらに輝きを増し、私は金色に飲み込まれた。
目覚めると、棚の上に飾ってある布袋さまと目があった。次に布袋さまの足元に奉った年末ジャンボ宝くじ連番三十枚が目に入った。
「あ。」
夢の中のおじいさんは布袋さまだったのだと直感した。あの汚い袋はお金だったのだ。
私は年末ジャンボ宝くじの当たりを逃がしてしまったのだ。
けれど、後悔はしなかった。金色の階段を、私はもう登り始めたのだから。この道が私の夢の先へと続いているのだと知ったのだから。
階段はどこまで続くのか見当もつかない。けれど、どんなに苦しくても登り続ける。
この道は私を輝きの中に生きさせてくれるのだから。




