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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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昨日・今日・明日

昨日・今日・明日

「大変なの……」


爽やかな秋晴れの朝、由香が夫の枕元で囁いた。そのくらーい声に驚いて夫は飛び起きた。


「なんだ、どうした?」

由香はうつむき表情が見えない。


「お味噌汁が……」


「味噌汁が?」


「恐いの……」


「は?」


「お麩のお味噌汁……」


「はあ」


「今日、お麩のお味噌汁なの……」


「はあ」


「恐怖の味噌汁〜」


「今日、お麩の味噌汁なら、きようおふの味噌汁だろ?」


由香は顔をあげるとけろっとした表情になる。


「美味しくできたから、早く食べて」


「はいはい」


夫は起き上がるとあくびしながら寝室を出た。

昨日はなぜか具のない素味噌汁だった。今日は恐怖の味噌汁。明日は何を食べさせられるのだろう。


「……じゃがいもの味噌汁が好きなんだけどな」


夫は独り言を言いながらダイニングに入った。味噌汁には麩だけでなく、じゃがいもも入っていた。


「恐怖の味噌汁〜」


「わかったわかった」


明日の味噌汁が何だろうときっと美味しい。夫は手を合わせてから味噌汁を飲んだ。

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