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昨日・今日・明日
昨日・今日・明日
「大変なの……」
爽やかな秋晴れの朝、由香が夫の枕元で囁いた。そのくらーい声に驚いて夫は飛び起きた。
「なんだ、どうした?」
由香はうつむき表情が見えない。
「お味噌汁が……」
「味噌汁が?」
「恐いの……」
「は?」
「お麩のお味噌汁……」
「はあ」
「今日、お麩のお味噌汁なの……」
「はあ」
「恐怖の味噌汁〜」
「今日、お麩の味噌汁なら、きようおふの味噌汁だろ?」
由香は顔をあげるとけろっとした表情になる。
「美味しくできたから、早く食べて」
「はいはい」
夫は起き上がるとあくびしながら寝室を出た。
昨日はなぜか具のない素味噌汁だった。今日は恐怖の味噌汁。明日は何を食べさせられるのだろう。
「……じゃがいもの味噌汁が好きなんだけどな」
夫は独り言を言いながらダイニングに入った。味噌汁には麩だけでなく、じゃがいもも入っていた。
「恐怖の味噌汁〜」
「わかったわかった」
明日の味噌汁が何だろうときっと美味しい。夫は手を合わせてから味噌汁を飲んだ。




