動物たちの幼稚園
動物たちの幼稚園
動物幼稚園の動物園長さんはゾウの花子先生。
花子先生は秋の運動会に向けて、子供たちのスニーカーをそろえることにしました。
猫のポチ、犬のクロ、蜂のムサシ、お猿のキー坊。
みんなにおそろいのまっ赤なスニーカー。子どもたちはスニーカーをはいてみて、よろこんで走り回りました。花子先生もニコニコ。みんな運動会を楽しみにしています。
運動会が近づいてきたある日、幼稚園に新しい子どもがやってきました。
ムカデのム―くんです。子どもたちは、みんなすぐにムーくんと仲良くなりました。みんなで木登りをしたりブランコに乗ったりして遊びます。
花子先生はムーくんのために、くつ屋さんにスニーカーを買いに行きました。けれど、みんなと同じスニーカーは売り切れ。
花子先生はしかたなく、みんなのとはちがう青いスニーカーを買って帰りました。
運動会の日、みんなはおそろいのスニーカーをはいて、たのしそう。けれどムーくんは一人、すみっこの方で座り込んでいます。
「どうしたの、ムーくん」
花子先生が聞くと、ムーくんは泣きべそをかきながら言いました。
「ボクだけちがうスニーカーだ、ボクだけなかまはずれ」
みんなはムーくんのスニーカーを見てびっくり。みんなのスニーカーはまっ赤なのに、ムーくんのスニーカーはまっ青。
あんまりムーくんが泣くものだから、みんなもかなしくなってきました。
「ムーくん、ぼくのスニーカー、はんぶんあげるよ」
蜂のムサシが右がわのくつ、三つをくれます。
「わたしもはんぶんあげる」
猫のポチが右側の二つをムーくんの前におきます。
犬のクロも、お猿のキーボーも右のくつをムーくんにあげました。みんなのくつはぜんぶで八つ。ちょうどムーくんの右がわの足の数とおなじです。
ムーくんはまっ赤なスニーカーを右の足にはいていきます。
一本、二本、三本の足には蜂のムサシのスニーカー。
四本、五本の足には、猫のポチのスニーカー。
六本、七本の足には、犬のクロのスニーカー。
八本目の足には、お猿のキー坊のスニーカー。
みんなとおなじまっ赤なスニーカーをはいたムーくんはニコニコ。
みんなはムーくんのまっ青のスニーカーをはいてニコニコ。
赤と青のスニーカーでみんなでかけっこや、つなひきや、玉いれをしました。
花子先生はうれしそうにみんなのことを見ていました。




