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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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月夜の小舟

月夜の小舟

月夜に小舟を漕ぎだして

彼女は一人ひっそり歌う

海の下では愛しい恋人が

何も映さない目で見てる

聞こえない耳で聞いてる

彼女は一人ひっそり歌う

彼女は恋人を海に沈めた

恋人は彼女を愛し続けた

海の下に永遠の愛がある

彼女の歌は恋人を慰める

彼女は一人ひっそり歌う

月夜の小舟は海の上どこまでも透明な波を越えていく

月に向かってそこに彼女の歌が届いたら恋人の耳はもどってくる

月夜に歌を届けたら、恋人の目はまた開く

彼女は恋人を海に沈めた

けれど彼女はひっそり歌う

月の歌を海の歌を恋の歌を

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