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月夜の小舟
月夜の小舟
月夜に小舟を漕ぎだして
彼女は一人ひっそり歌う
海の下では愛しい恋人が
何も映さない目で見てる
聞こえない耳で聞いてる
彼女は一人ひっそり歌う
彼女は恋人を海に沈めた
恋人は彼女を愛し続けた
海の下に永遠の愛がある
彼女の歌は恋人を慰める
彼女は一人ひっそり歌う
月夜の小舟は海の上どこまでも透明な波を越えていく
月に向かってそこに彼女の歌が届いたら恋人の耳はもどってくる
月夜に歌を届けたら、恋人の目はまた開く
彼女は恋人を海に沈めた
けれど彼女はひっそり歌う
月の歌を海の歌を恋の歌を




