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ダイエットは明日から
ダイエットは明日から
「そうか、一日三回食べるから太るんだ!一日一回にしたら、摂取カロリーは三分の一じゃない!」
ある朝、明美はさも名案を思い付いたという顔で隣で寝ていた武昭の腕を掴んで揺する。
武昭はややうんざり気味で明美の手をどけた。
「またそういうしょうもないことを。ダイエットにはバランス良い食事と適度な運動が……」
「決めた!私一日一食にする!武昭も付き合ってよね」
「ええ?いやだよ」
「じゃあ、私がお腹をすかせながら二食作るわけ?私は食べないのに?」
「自分のぶんくらい作るよ」
「目玉焼きも作れないのに?」
武昭は押し黙り、明美は腰に手を当てて勝ち誇った。
「じゃあ、明日から始めるから」
「今日からじゃないのか?」
「食べ納めをしなくちゃ!よーし、たくさん食べるぞー」
武昭は諦めのため息をついた。
「今度はいつまで続くのかな……。早く飽きるといいんだけど」
一人言は、ぐうと鳴ったお腹の音に掻き消された。とにかく今朝は食べられる。それだけを救いに、武昭は布団から這い出した。




