316/888
金の糸 87
その部族には不思議なユルタがあった。
一つのユルタにたくさんの異民属の人々が住んでいた。
彼らは皆、異形の地から来たという。
異形の地で産まれ、異形の地で育ち、しかし地球を母の星を目指して帰ってきた。
子供たちは皆、様々だ。肌の白いもの、黒いもの、黄色いもの、髪が赤いもの、黒いもの、金色のもの。
様々な人、様々な言葉。
けれど彼らはただ一つ、同じものを持っている。
彼らは歌う。
彼らは笑う。
彼らは怒る。
彼らは働く。
彼らは眠る。
そして彼らは恋をする。
彼らは持っている。
ただ一つ、ほんとうの自由を。
彼らは皆、前を向いて進む。
 




