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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 82

「絢香、聴取です」


シンデレラが絢香を呼びに来る。

絢香はのろのろと身を起こす。

異形の地で腰まで伸びていた髪は今やくるぶしまで届き、絢香が動くたびに体にからまり動きの邪魔をした。

なんどもシンデレラから、切りましょうか?と訪ねられたが、絢香は首を横にふった。

日に当たらない生活のせいか、絢香の髪はほとんど金と言えるほどに退色していた。


何度も何度も繰り返されるSUomi。絢香はその言葉をまるまる暗記してしまった。もはや通訳など必要ない。


『あなたは何人か』


「日本人です」


『あなたの渡航目的は』


「異形からの保護です」


『異形とは』


「別の星の生き物です」


審問官はため息をつく。


『宇宙人など存在しない』


「見たはずです。人間の三倍はある生き物の死体を。それが乗ってきた不可思議な乗り物を」


審問官は苦笑いする。


『そんなものは存在しない。君は幻を見たのかね?』



無意味な問答は二年間続けられた。絢香は髪を編み、肩から前にたらし、歌を歌った。

カナリヤの歌を。

金の檻のなかで歌った歌を。

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