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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 76

森から抜けるときには永遠のように長く感じた道が、今はあっという間に過ぎていく。川をわたり、下草をかきわけ足跡を見つけ、ハンナはすいすいと歩いていく。

四人の警官たちは息を乱しながらもついて歩く。

絢香と雷三は額に汗を浮かべながらついていった。



その場所に立ったとき、警官たちの口から呻き声が上がった。


巨大な見たこともない乗り物、金の糸に巻かれた、人の三倍はある異形。

警官たちが口々に何かを叫び相談し、腰につけた無線機で連絡を始めた。


雷三は異形に近づいた。

警官がなにか制止の言葉を叫んだが、雷三は無視した。異形の鼻先に頬をあて、首筋をまさぐる。異形は目を覚まさなかった。


「こいつ……死んでるのかも」


「ええ?まさか、捕まえたせいで?」


雷三は口を閉じ、うつむいた。絢香もそれ以上、何も言えなかった。

ただなにか、黒くとぐろを巻く生き物に捉えられてしまったような気がした。



警官隊が到着した。彼らは異形を目にして口々に呻き、祈り、嘔吐した。


黒い布でくるまれた二人の赤ん坊を警官が銀色のシートで包む。包みを抱え、二人の警官が道を戻っていく。


絢香と雷三、それにハンナは宇宙船が見えないところまで連れていかれ、そこで待つように指示された。警官たちはバタバタと走り回っている。


「私たち、これからどうなっちゃうのかしら」


雷三は黙って、ただぎゅっと絢香の手を握った。

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