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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 73

森のなかが暗くなるのは日暮れよりもずっと早い時間だった。ハンナは木がまばらなところを選んで下草を踏みしめてならし、今夜のキャンプを作った。

ハンナが持っていた防寒具にマリをくるみ、大人たちは身を寄せあって夜気から身をかばった。

ユッカとハンナがポツリポツリと話し出した。できるかぎり英語を使ってくれたが、絢香には聞き取ることができなかった。

ただ、今向かっているのがTownであることはわかった。


マリがぐずりだした。

地面ではうまく寝ることができず、親から離されて、真っ暗な森のなか。大人たちでさえ心細いのだ。

絢香はマリを膝に抱き、子守唄を歌ってやる。

マリはぐずりながらも徐々に静かになっていく。

ふいに雷三が絢香とあわせて歌い出した。高く引く響く声にマリはいつしか眠りについた。



「雷三、なんで子守唄を知っているの?」


雷三は困ったように笑う。


「絢香が歌ってくれたろ。俺が子供の時」


絢香はくすりと笑う。


「子供の時って、つい最近じゃない」


「うん。俺はつい最近まで子供だった。けど今は違う」


雷三は強い瞳で絢香を見つめる。絢香もしっかり見つめ返す。


「うん。今は違うよ」


雷三は絢香の手をぎゅっと握った。

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