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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 56

「キィ!チュイ」


ミドリが指差した先に、巨大な建物が立っていた。高さは異形サイズで三階建てほどだが、横幅がすごかった。建物の端に立って遥かを見通し、やっと向こう端が見えるかどうかと言うくらい広かった。


「キィだよ、あやか。いこう、いこう」


「ミドリ、あなたは帰りなさい」


ミドリは目をぱちくりした。


「なんで?」


「私は雷三を見つけるまでここにいるから。村には帰らないから」


「なんで?」


「なんででも。あなたはこの人に連れて帰ってもらいなさい」


「やだあ!」


ミドリは地面に座り込み、手足を縮めた。そのままぐずぐずとぐずり始めた。絢香はミドリの手を引っ張り異形の警察官に突きだした。


「この子を村に帰してあげてください」


「やだあ!」


警官は察してくれたようで、ミドリを抱きかかえ懐に入れた。代わりに懐からエサをどさりと両手に重いほど取りだし、絢香に渡した。


「ありがとう」


警官は背筋を伸ばすとかかとを打ちならし、くるりと振り返り歩き出した。ミドリの泣き声は、ずいぶんと遠くまで聞こえた。絢香はミドリの声が聞こえなくなるまで見送ると、勢いをつけて駆け出して、宇宙港に足を踏み入れた。

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