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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 53

「お願い、ミドリ!この人に雷三のことを聞いて!」


「らいぞー?」


「私と一緒だった男の子!おぼえてるでしょ?」


ミドリはふるふると首を横にふる。


「お願い!聞いて!人間の男の子が迷子なの!」


ミドリは絢香の剣幕に怯えたようだったが、それでも異形に話しかけた。


「キャー?きゅ」


異形は一瞬、目を見開き、絢香とミドリに手振りで来いと示して、小屋の奥へ進んだ。

ミドリはなんの抵抗もなくついていく。絢香は一拍遅れ、深呼吸して足を踏み出した。



小屋の奥の部屋にはいくつかの金の檻があった。どれにも人間が入っていて、みんな一斉に絢香とミドリを見据えた。

四方から声が降ってきた。

英語、中国語、フランス語、その他の聞きなじみない言葉たち。あまりのかしましさに、絢香は耳をふさいだ。


「まいごだって」


ミドリが絢香の裾を引く。


「この人たち、まいごだって」


絢香はぐるりと部屋中の檻を見渡す。


「ミドリ、雷三はここにはいない」


ミドリは眉ねを寄せ首をかしげた。


「まー。こまったわねえ」


こまっしゃくれたミドリの物言いに、絢香はくすりと笑う。


「それ、ママのまね?」


「そう!」


ミドリは楽しそうに笑って警察官に向かい「きゅ」と鳴いた。


警察官は二人の背をそっと押すと部屋を出た。

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