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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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金の糸 46

「Hello」


そこにいた女性は絢香たちに話しかけてきた。


「は、はろー」


突然のことに驚いた絢香は目を丸くした。

人間が何人もいた。肌の色も髪の色もばらばらな人達。


「Are you OK?」


「あー、えーと……」


絢香に声をかけた金髪の女性の後ろから、黒髪の男性が顔を出した。


「もしかして、日本人?」


「そうです!あなたも?」


「そうだよ。君達ずいぶんボロボロだけど、どこから来たの?」


二人は今までのことを話した。男性は悲しげな顔で同情を示してくれた。同時に英語で、一緒にいた人達に通訳してくれた。


「お腹すいてないかい?喉は乾いてない?」


「大丈夫だよ。砂漠でこれを摘んできたから」


雷三が腰に巻いてきた荷物をほどき、実を見せる。


「ああ、それは甘くて美味しいよね。でももっと美味しいものがあるんだ」


二人は手招かれ、建物の裏に回った。

そこにはテントのように布が張ってあり、中には子供達が寝ていた。

男性は子供を起こさないように、そっとテントの奥に入ると、布包みを持って来た。


「あ!エサだ!」


「エサ?君たちはこれをエサと呼んでるの?」


「そうだよ。飼われてる生き物が食べるのはエサだ」


男性は雷三の頭を撫でた。


「かわいそうに。不自由な生活をしていたんだものね。でも安心して。ここなら自由に暮らせるから」


「自由に?異形に捕まらずに?」


絢香の問いに男性はにっこりと笑った。


「この街では生き物を保護するボランティアがたくさんいて、僕達を守ってくれるんだ。とにかく今日はこれを食べて、ゆっくり眠るといい。安心して」


絢香と雷三はテントに入り、手足を伸ばして眠った。子供達の安らかな寝息を聞きながら、夢もみずに眠った。

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