表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
267/888

金の糸 38

老人が部屋に姿を表さないまま一昼夜が過ぎた。絢香は一睡もできぬまま考え続けた。どうやって逃げ出すか、どうやって雷三を助け出すか。


扉が開いた。

絢香はびくりと震える。入ってきたのは一人の幼女だった。隠れるようにさっと扉を閉め部屋の中を見渡した。誰もいないと確認すると一目散に絢香の檻に駆け寄った。


丸い目で絢香を見つめると、にっこり笑い檻を開け絢香に手を伸ばした。


躊躇はしなかった。絢香はその手に思いきり噛みつく。幼女は叫び声をあげ手を引っ込めた。その隙に檻から飛び出て、台の縁から下をのぞく。絢香は自分の身長より高い位置にいた。台の端に腰掛け、目をつぶって飛び降りた。床をごろごろと転がる。

毛足の長い絨毯に助けられ、怪我はない。


幼女は噛まれた手を押さえ泣いている。

絢香は立ち上がると扉に向かって走った。扉は手を触れると自動で開いた。


廊下を明るい方へ向かって走る。磨きあげられた廊下は石でできており、絢香の足音がぱたぱたと響いた。


廊下の照明が昼ほどに明るい辺りへやってくると、前方から異形の足音が聞こえた。

左右を見渡しても身を隠せるものはない。

絢香は引き返して薄暗いところにある扉を開け、飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ