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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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四月一日

四月一日

全部ウソだったらいいのに。

四月一日、洋子はふられた。


「他に好きな人がいるんだ」


十年も付き合って、別れの言葉はそれだけ。洋子はエイプリルフールのウソなんだと思って笑い飛ばした。けれど彼は洋子に背中を向けて去っていった。


全部ウソだったらいいのに。

四月四日の今日まで、彼からはなんの連絡もない。それどころか洋子が出したメールは届かなかった。


全部、ウソだったら、よかったのに。

洋子は保存していた彼からのメールや二人で撮った写真を何度も何度も見返した。彼はいつも洋子を愛してくれていた。


全部、ウソだったら、よかったのに……。

愛してなんてくれなければよかったのに。


そう思ったら、ふつふつと怒りが沸いてきた。洋子はメールも写真も、すっぱり全消去して、彼のアドレスも彼からもらった指輪もゴミ箱に捨てた。

それから首を捻って少し考え、指輪はゴミ箱から拾い上げた。

ゴールドだ。換金できる。

洋子はカバンに指輪を突っ込むと、部屋を出た。


四月四日、洋子は失恋から立ち直った。


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