表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
194/888

ほくほく

ほくほく

美夜子は昔風に言うところのキャリアウーマンである。

新人にキャリアウーマンなんて言葉が通じなくなったのはいつからだろう。それくらい、今は女性にも男性と同じ力量が必要とされる。もちろん、残業だってある。

美夜子の母の世代には、女性に深夜残業はなかったらしい。夜10時までには仕事を終えねばならなかったらしい。

のどかな時代だ。


そんなことを思いながら、美夜子は終電に乗る。

自宅への帰り道、24時間営業のスーパーマーケットがある。そこで夜食を買って帰るのが美夜子の一番の楽しみだ。最近、お腹回りがダブついてきたように感じるが、これだけはやめられない。

20%引きのシールを見てはほくそ笑む。


今夜も、枝豆やらいかリングやらゴーヤチャンプルーやらのお総菜を品定めする。


手が止まる。なんと30%引きの商品がある!

ピーマンの肉詰め。奇しくも美夜子の大好物だ。


美夜子はほくほく顔でそれを手に取り、レジに向かう。レジに立っていたのは、美夜子が一番気に入っている男性店員だった。美夜子はさらにほくほくする。


「いらっしゃいませ」


今日も爽やかな声でてきぱきと対応してくれる。美夜子のほくほくは止まらない。

思わず微笑がこぼれる。


「ありがとうございました」


手渡されたビニール袋にはなにも言わなくても割り箸が入っている。美夜子のことを覚えてくれているのだ。

それだけで美夜子は明日も頑張れる。

ピーマンの肉詰めとレジの男性と30%引きが元気をくれる。


「やっすい元気だわあ」


美夜子は我ながらおかしくなってほくほくとほほえみなが家路についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ