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ロングロングバケーション
ロングロングバケーション
会社を辞めた。
転職ではない。
もう仕事をしないのだ。永久に。
水道ガス電気、すべて止めた。
戸締まりをしてすべての窓と扉に目張りをする。真夏の日差しが絶たれ、室内は暗くなる。
蒸し暑い床に、膝を抱えて横になる。
じっとりとした汗が体中流れ出す。そうしてじっとしているとだんだん意識が遠ざかる。
一日たち、二日たち、三日目には汗も出なくなった。
口の中が渇いてべったりと皮膚がくっつきあう。
呼吸をするのも苦になって、けれどぼんやりとした頭ですべての終わりを喜んでいる。
このまま、じっとしていよう。
俺が溶けてなくなるまで。
いつまでも。




