オオカミちゃんのパンケーキ
オオカミちゃんのパンケーキ
森のなかでオオカミちゃんが一人ぼっちでくらしていました。
ある日、オオカミちゃんのおうちに大きなクマさんがやってきました。
「森のなかでまよっておなかがぺこぺこなんだ。なにか食べさせてくれないかなあ」
オオカミちゃんはクマさんにパンケーキを食べさせてあげようと思いました。
たいせつにそだてたお花をつんで、町にあるいていきました。
しばらくいくとウシさんがひなたぼっこしていました。
「ウシさん、ウシさん、ミルクをわけてくださいな」
ウシさんはオオカミちゃんを見てびっくり。
「こわいわ、こわいわ、オオカミだわ」
ウシさんはプルプルふるえました。
オオカミちゃんはかなしくなりました。けれどまたおねがいすると、ウシさんはミルクをわけてくれました。
オオカミちゃんはお礼にお花をあげると、とぼとぼ歩いていきました。
しばらくいくと、にわとりさんがはたけをたがやしていました。
「にわとりさん、にわとりさん、たまごをわけてくださいな」
にわとりさんはオオカミちゃんを見てびっくり。
「こわいわ、こわいわ、オオカミだわ」
オオカミちゃんはかなしくなりました。けれどまたおねがいすると、にわとりさんはたまごをわけてくれました。
オオカミちゃんはお花をあげると、とぼとぼ歩いていきました。
しばらくいくと、かかしさんが、こむぎをまもっていました。
「かかしさん、かかしさん、こむぎをわけてくださいな」
かかしさんはオオカミちゃんを見てびっくり。
「こわいよ、こわいよ、オオカミだ」
オオカミちゃんはかなしくなりました。けれどまたおねがいすると、かかしさんはこむぎをわけてくれました。
オオカミちゃんはお花をあげると、とぼとぼ歩いていきました。
しばらくいくと、みつばちさんがお花のみつをあつめていました。
「あらあら、すてきなお花のにおい」
みつばちさんはオオカミちゃんのお花の上にとまりました。
「みつばちさんは、わたしがこわくないの?」
オオカミちゃんが聞くと、みつばちさんがいいました。
「このお花がいってるわ。オオカミちゃんにだいじにだいじにそだててもらったって。きれいなお花をそだてるオオカミちゃんのこと、こわいなんて思わない」
オオカミちゃんはうれしくなりました。
オオカミちゃんはみつばちさんにおねがいして、ハチミツをわけてもらいました。
それからお礼にお花をあげて、元気に森にかえりました。
みつばちさんはオオカミちゃんをみおくると、お花をさがしてふわふわとんでいきます。
「あ、いいにおい」
お花のにおいにちかづくと、かかしさんが、お花をだいてしょんぼりしていました。
「かかしさん、どうしたの?」
かかしさんは答えます。
「オオカミちゃんをかなしいきもちにさせちゃった。あやまりたいけど、おうちがわからないんだ」
みつばちさんがいいます。
「オオカミちゃんのおはなのにおいをたどっていけば、みつけられるわ」
かかしさんはみつばちさんについていきました。
みつばちさんがにおいをたよりにとんでいきます。お花のにおいにちかづくと、にわとりさんがしょんぼりしていました。
「わたしもオオカミちゃんにあやまりたいわ」
にわとりさんもみつばちさんについていきます。
みつばちさんがにおいをたよりにとんでいきます。お花のにおいにちかづくと、うしさんがしょんぼりしていました。
「わたしもオオカミちゃんにあやまりたいわ」
ウシさんも、みつばちさんについていきます。
みつばちさんがにおいをたよりに森のおうちにたどりつきました。
ドアをノックすると、オオカミちゃんがでてきました。
みんなのかおを見て、オオカミちゃんはびっくり。
かかしさん、にわとりさん、ウシさんが、みんないっしょにあやまります。
「ごめんね、オオカミちゃん。お花をどうもありがとう」
オオカミちゃんはにっこり。
みんなをおうちのなかに招待しました。
おうちのなかには大きなクマさん。みんなはびっくり。
けれど、みんなそろってにっこりあいさつします。
「クマさん、こんにちは」
クマさんもわらってあいさつします。
「みなさんこんにちは」
それからオオカミちゃんはたくさんパンケーキを焼いて、みんなでパンケーキパーティをしました。
そうしてみんなはともだちになりました。
森のなかで、オオカミちゃんはもう一人ぼっちじゃなくなりました。




