表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
126/888

クリスマスに靴下を飾る理由

クリスマスに靴下を飾るわけ

「ほっ?」


新年のごちそうを食べていたサンタさんが、ぱたっとフォークを置きました。


「ほー、こりゃしまった。トナカイたちにクリスマスプレゼントをやるのを忘れていた」


サンタさんは白いふわふわのおひげをひねりながら考えます。


「しかし、新年を過ぎてからクリスマスプレゼントをやるわけにはいかん。こりゃまいったな」


窓から外を見てみると、トナカイたちはそれぞれに飼い葉を食べたり、雪をかいたり、楽しそうに過ごしています。

ただ一頭、赤い鼻のルドルフだけは悲しげに下を向いていました。

サンタさんは気になって外へ出てみました。

トナカイたちは大好きなサンタさんの顔を見ておおはしゃぎ。

けれど、ルドルフだけは黙ったままです。


「ルドルフや、どうしたんだね? そんな悲しそうな顔をして」


ルドルフはサンタさんから顔をかくしてそっぽを向きました。


「サンタさん、僕はもうサンタさんの役に立てません」


「それはまたどうして? 病気になったのかい?」


「いいえ」


「そりをひくのが嫌になったのかい?」


「いいえ」


「じゃあ、いったいどうしたんだい、聞かせておくれ」


サンタさんがそういうとルドルフはくるりと振り向きました。


「おや、まあ」


いつも真っ赤にピカピカ光って夜空を明るく照らしていたルドルフの鼻は、今は鼻水をたらして青くなっていました。これでは夜道が見えません。


「お前は風邪をひいたのだね」


「かぜ?」


ルドルフはきょとんと首をかしげました。


「そうだよ、病気だよ」


「治らないの?」


ルドルフは悲しそうに聞きました。


「暖かくしてぐっすり眠ればすぐによくなるよ。そうだ、待っておいで」


サンタさんは急いで家に入ると毛糸を取りだし、サッサッと編み始めました。

サッサッサッサッと編んで、あっという間に毛糸の靴下が出来上がりました。

サンタさんは靴下をもってルドルフのところへ戻りました。


「お待たせ。さあ、靴下をはいてごらん」


ルドルフはいそいそと靴下に足を入れました。ふわふわでとっても暖かでした。

すぐにルドルフの鼻水はとまりました。


「さあ、あとは暖かくして眠ればよくなるよ」


そう言ってサンタさんはトナカイの寝床にいつもよりたくさんの藁を敷いてあげました。


それからサンタさんは家に戻って毛糸の靴下をたくさん編みました。

サッサッサッサッと何足も。

そうしてトナカイたちみんなにおそろいの靴下をプレゼントしました。


嬉しそうにはしゃぐみんなを見てルドルフもニコニコ。


「ルドルフや、その靴下をクリスマスの日には寝床に吊るしておくれ。そうしたら今年のクリスマスのプレゼントを忘れなくてすむからね」


サンタさんははずかしそうに真っ赤になって笑いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ