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今日のおはなし  作者: 溝口智子
金の糸 15
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夢の国

夢の国

いつのことだか、覚えていない記憶がある。


とても寒かった。

誰かに手を引かれて歩いていた。

私はとても小さく、手を引く人はとても大きかった。

繋いだ手だけがぽかぽかと暖かい。

くちゅん、と私がくしゃみをすると、私の手を引く大きな人が、私の体を、何か暖かくふわふわしたもので包み、抱き上げてくれた。


記憶はそこで途切れている。

その人は男性だったような気がするのだが、父親のいない私を、抱き上げてくれるような人に、心当たりはない。


先日、母が亡くなり、遺品を整理することになった。

元来、綺麗好きな母の部屋はきちんと整頓されていて、片付けの労はほとんど無かった。

アルバムをめくっていると、一枚だけ、ページの間に挟んだだけの写真が出てきた。

手に取って見て、ああ、この人だ、と思った。


私が3歳の頃のことだ。遊園地へ行ったのだ。母と二人で。

そこで、迷子になった私を、その人が見つけ、手を引いて迷子センターまで連れて行ってくれたのだ。

すっかり忘れていたが、子どもを育てる年齢になった今でも、その遊園地のことが好きで好きで仕方ないのは、その人がくれた暖かい思い出のせいだったのかもしれない。



写真には、眠る私を抱っこしている、ミッキーマウスが写っていた。

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