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七夕―僕の願い―

作者: 天とぶ羽

初投稿です。至らない点はありますが、暇潰しにでもしていただけたら、と思います。

もしよろしければどんな批評でも、コメントしていただけたら、と思います。

「おい、今日は金、持ってきたんだろうな」

「…ないに決まってんだろ」

 そういうとあいつらはにんまりと笑う。はい、サンドバッグ決定。

「いい加減持ってこないとねぇ?」

「しかたない。解らせてやれ」

 愉しそうに仕方ないと言う神経を疑いたいけれど、今はバレないように急所を外す事で精一杯だ。バレたら多分、凶器を持ち出すだろうから。

「今日はこの辺にしといてやるよ」

 何がこの辺だ。僕が外してなければ…つまり普通なら死んでるぞ。

 僕は地面にうつ伏せでじっとしていた。動いたらあいつらはもっと攻撃するに違いない。僕はこれ以上の面倒はごめんだし、時間をくうとあいつらの命に関わる問題が頼みもしないのにやって来るだろうから。

 よろよろと立ち上がって制服の汚れを払う。土や落ち葉が付いていて、これを丁寧に払っておかないと、バレるからだ。髪も適当にはらって、土を落とした。

「さて、行くか」

 腕や脚、体が大丈夫かどうか確認してからバッグを拾って歩き出す。目指すは、裏門だ。


 ―――――――――


「あ〜…おっそいなぁ…」

 そんな呟きが聞こえた。なかなかどうして、殺気が漂っているようにさえ感じる。

「お待たせ」

「遅いよ修ちゃん」

「悪い、職員室に行ってから図書室によって生徒会室と音楽室に行ったら遅くなった」

 まぁ、嘘ではない。

 彼女は僕の頭から靴先までを眺め、それからジト目で睨みつけた。

「嘘ね」

「嘘じゃないさ」

 彼女はそれでも疑っているらしく、僕の髪に手をやった。

―今日は髪だってちゃんと払ったけど…

「…土が付いてる」

「…………嘘は吐いてないぞ」

 不意に優しく、それでいて悲しそうな眼差しに変わる。

「またイジメられてたの?」

「いや、防御の練習のために有効利用させてもらってたのさ」

「…屁理屈」

 僕はバックを担ぎ直して歩き出す。

「いいんだよ、別に」

「よくないよ!!」

 僕の彼女の実家は空手の道場をやっていて、もちろん彼女は有段どころか数多くの大会で優勝し続けている。そして正々堂々がモットーなのでイジメなんてもってのほかだ。僕に関わった何人かは既に沈められた。

「平気だよ、これくらい。大した傷にもならないさ」

 そういうと、彼女は立ち止まった。

「…なんか」

「え?」

「よくなんかない!平気なんかじゃないくせに!」

 …驚いた。怒ったところは何度も見たけど…泣いたとこは初めてだ。

「…え、あ、ご、ごめん。僕なにか悪いことでもした?」

 謝ってみたけど、彼女は一向に泣き止む気配がない。

「どうして平気なんていうの?どうして平気そうな顔してるの?そんなにぼろぼろなのに」

 …やっぱ、バレない方がおかしかったか。

 今日のあいつらはいつもとは違った。なんだかやけにパンチが重いやつを連れていて、応戦できれば楽勝だったけれどそんなわけにも行かず、外す事で精一杯と言うのはそういうことだった。

「…うちにおいで、手当てしてあげる」

 涙声で言われれば、したがう他ない。僕は彼女の家にお邪魔した。そして湿布を貼ってもらいながら道場の壁に架けてあったカレンダーに目をやった。…今日は、七夕、か…。

「はい、終わったよ」

 僕があまりにぼぉっとしていたせいか、彼女が顔を覗き込んできた。

「…どしたの?」

 さっき泣いていたやつとは思えないほどの立ち直りっぷりを見せている。不思議そうな表情をしている。

「いや、今日が七夕だって忘れてたから」

「…そっか」

 聞かなくてもわかるのだろう。彼女はうつむいた。

「…気にするなよ。もう過去の事だから」

「それは自分に言ってるの?」

「ああ、それもあるかも知れない」

 七夕は嫌いだ。大嫌いだ。悪いことしか起こらない。願っても、叶わない。

「ねぇ、短冊に願い事書こうか?子どもたちのはもう飾ってあるんだ」

 彼女は何処からか短冊とペンを持ってきた。よく見ると、道場の隅に竹があって、たくさんの短冊が付いていた。あれは道場の門下生達が書いたのか…

「願い事?」

「そう。これは内緒の願いだよ。一番上に飾るの。そしたら誰にも見ることは出来ないから」

「願い事なんて…」

 願い事なんてない。願いなんてない。決して叶わないと知ってしまった。決して願いたくないと思ってしまった。

「…いいから、書こうよ」

 彼女は強引に短冊とペンを持たせ、僕に背を向けた。…見るなって事らしい。

―何を、書こう…―

 戸惑う。何を書いていいのか、いけないのか。叶う願いを書けば良いのか?…叶わない願いなんて書けない事は、よくわかってる。 …だけれど、彼女は僕の短冊を見るだろう。何も書いていないのでは、また泣かせるかもしれない。

 僕は迷って…今は、だからこう書こう。



『誰かの願いが、叶いますように』




 はじめまして、初投稿を終えて後悔やら達成感やらがごちゃまぜな私ですが、いかがでしたでしょうか…?

 実は何も考えず、ある曲を聴いたときパッと浮かんだ話だったのでまとまりも何もあったもんじゃない!!と、反省しきりです。何でもう少し考えて行動しないんだお前は!?と言われても、仕方ありません…。

 なので、秘話と言うほどのものをお伝えする事が出来ませんが…ともかく、読んでくださった方に感謝と敬意を表して。

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― 新着の感想 ―
[一言] 音楽を聴きながら思いついた、というのが分かる気がします。読んでいて、音楽を聴いているような、心地よい感じがしました。
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