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誰36話


『コンコンコン』


その夜遅くに、扉を静かにノックする音が聞こえた。

陛下が眠っている事を確認して、私は扉を細く開いた。


「ノ……」

私が声を出す前に、黒いマントをすっぽりと被ったノアは『シッ!!』と口に指を当てて私を黙らせた。


驚いている私を部屋へと押し込む。廊下の護衛は何をしているのだと私は不思議に思っていた。



「何をしに来たの?!」


「シッ!大きな声を出すな。いいか?時間がないから良く聞け。明日、ここに反乱軍が攻め入る」


「な、何を?!そんな……でもどうして、私に?貴方反乱軍でしょう?」


「静かに。陛下が起きる」


「馬鹿言わないで!大人しくなんて捕まるもんですか!ここから逃げるわ、陛下と一緒に」


「いや、俺の言う通りにしろ。反乱軍に捕まるんだ。安心しろここを襲う者達は俺の仲間だ」


「はぁ?貴方頭おかしいの?安心なんて出来る訳ないじゃない!みすみす陛下を反乱軍には渡さないわ!それに……反乱軍の魂胆は分かってるのよ?!反乱軍の黒幕は……!」


「宰相だろ?分かってる」


静かに言ったノアの顔を、私は信じられないものを見る様な顔で眺めた。


「……知ってたの?」


「それを調べる為に反乱軍に潜んでいたが、やっと尻尾を掴んだ。まず、この革命には違和感と腑に落ちない点が多すぎた」


「じゃ、じゃあ……貴方は陛下を裏切っていた訳では……」


「当たり前だ。俺は近衛だ。陛下の為に命をかける」


ノアのはっきりとした答えに、私は涙が溢れた。


「どうして言ってくれなかったの?」


「まだ証拠を掴めていなかった。言いたくても言えなかったんだ」


「なら……どうして反乱軍に捕らえられなければならないの?」


「明日から近衛の半分が他国に攻め込む軍に送り込まれるのは知っているな?」


私はコクコクと頷く。準備の為か既に近衛の姿は少なく、王宮は静かだった。


「その間にきっと宰相は動く。あいつの雇った暗殺者が陛下を狙うだろう。ならば先に反乱軍に捕まった方が安全だ。俺の仲間が此処に来る。手荒な真似はしないと誓う」


「捕らえられたら、陛下と私は?」


「あの塔へと幽閉する。あそこは王族が罪を償う為にある。ここよりは粗末だが、寝台もあるし、それなりの家具も揃っている。

元々、反乱軍の目的は王族の処刑だ。国民が納得する様に見せしめが必要だと考えている。直ぐに殺す様な事にはならない」

そう言ってノアは北の方を指差した。


「でも……いずれ……」


「その前にこの争いを招いた張本人の宰相の罪を暴く。……それとメリッサの」


王妃の罪……。それを暴かれた時……私の命は終わる。そう私は確信した。



そう言ったノアは突然私を抱きしめた。


「安心しろ……見つけた。メリッサを」


何故抱きしめられているのか……それよりも先に

メリッサ様が見つかった事に驚く。


「見つかった?何処で?」


「宰相だ。宰相の別邸に居る」


「では……宰相は初めから私の正体に気付いて?」


「いや。きっとあの……庭で会った時に気付かれたんだ。あれまではバレていなかった筈だ」


「ならば何故その時に宰相はそう言わなかったのかしら?」


「ベイカー公爵の力を借りる為の餌にしたんだろ。もしかすると、脅したのかもしれない」


なるほど。あり得る話だ。ではベイカー公爵も宰相の味方……という訳だ。


ノアは続ける。


「マギーが居なくなっただろう?」


「ええ。急に」


「宰相が黒幕かもしれないと思った俺は、賭けをした。

マギーにベイカー公爵の名で手紙を書いたんだ『直に反乱軍が王宮に攻め入る。そこから逃げてメリッサの元へ戻れ』ってな。お陰でメリッサの隠れ家が分かった。マギーはメリッサの元へと戻る前に捕らえてある」


「じゃあマギーはメリッサ様が何処に居るのかを知ってて?」


「あぁ。ある日……マギーが王宮に出入りする業者に何か渡しているのを見たんだ。そいつを追跡したんだが……そこから何人もの人間が入れ替わり立ち替わりでな……結局見失ってしまった。

だが、あれは……メリッサへの報告書の類だったのではないかと思って」


「報告書……」


「ああ。お前の動向をメリッサは気にしていたらしい……っと。もう行かなきゃ。時間がない。

良いか?さっき言った様にするんだ。俺はお前を守る。信じろ」


そう言えば……何故私はノアに抱きしめられているのだろう。私は離れようと腕の中で身動ぐがノアはますます強く私を抱きしめた。


「ちょ……ちょっと」


「俺もこの先どうなるか分からない。だから今、言っておく。俺はお前が好きだ。たとえお前が陛下を想っていようとも」


「へ、陛下の事は……そんな風に想っている訳ではないわ。ただ……放っておけなくて」


「どっちだって良いよ。俺の気持ちは変わらない。最後にちゃんと伝えたかった」


「……縁起でもない事を言わないで。生きて……私を守るのでしょう?」


私がそう言うと、ノアが少し笑った様な気配がした。そして、ノアの腕の力が緩む。

私からノアが離れようとした瞬間、ノアの顔色が変わった。


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