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第18話

「マシかどうかなんて、分からない」


「まぁ、今はそれでも良い。まずは本物が何処に居るかだが……。ベイカー公爵は謎の多い男だからな。何処かに隠したか……」


「公爵とメリッサ様は……婚約者だったの?」


私は自分が先ほど予想した答えを口にした。


「あぁそうだ。貴族なら誰でも知ってる。お前はやはり貴族ではないんだな」


「私はただの孤児よ。偉そうな貴族なんかじゃない。あんたは偉そうだから、貴族ね」


「近衛になるには身分が必要なんでね。伯爵位以上の貴族じゃなきゃなれない」


「ふーん。じゃあ、あんたも王国軍?」


「一応そうなるかな。王族を守る。それが俺達の使命だ」


この少し強面の男もいずれ反乱軍にやられてしまうのかと思ったら、少しだけ可哀想になった。


「国王の為に命を落とすの?」


「そうだ。だが、お前もそうだろう?普通に暮らしていれば、命だけは助かった」


「『命だけ』って……。反乱軍が勝てば平民の暮らしは今よりマシになるんじゃないの?」


「さぁ……どうかな?まぁ、一時は良くなるかもしれないが、長く続くか分からん」


どうしてこの男は淡々と喋るのだろう。自分だって命が危ないくせに。


「難しい事はわからない」

そう言った私の頭をこの男はもう一度撫でた。


「それで良い。考えても分からない事は考えるな。とりあえず俺は本物のあの女を探し出す。少しだけ待て」


「……信用出来ないけど、分かったわ」


「おっと。そろそろ時間だな。陛下が十分後には時間が取れると行っていた。マギーも戻るかもしれない。俺は行くが、この会話は誰にも言うなよ」


そう言ってノアは部屋から出ていこうとするも、振り返り、


「おい、陛下の所へ行くんだろ?お供しますよ、妃陛下」

と言って、笑いを堪えるように肩を揺らした。


私はツカツカと扉へ近付き、彼を追い越す時に思いっきり彼の足を蹴った。


「痛っ!」


「さぁ、案内して。……まだ陛下のお部屋の場所を覚えてないから」


私はそう言って部屋の外へと出た。


「陛下、お連れしました」


私はノアに連れられて陛下の所へと訪れた。


「話があるとか?」

陛下は机から顔を上げて私を見た。隈が酷い。


「この前の続きを話したくて」


「質問があると言っていたな。……そこに座れ」


私は促されるまま、長椅子へと腰掛けた。


「どうして……公爵に王妃を任せたのです?」

私は単刀直入に尋ねた。

陛下の顔色が変わる。しかし、直ぐに元に戻って、


「返したのだ……彼に」


「王妃は元々……公爵の婚約者だった?」


「ほう……平民でも知ってる者がいるのか。その通りだ」


私は朧げな記憶を思い出していた。陛下の結婚が遅かったという話を。


「昔話をしよう」

陛下は椅子から立ち上がり、外を眺めた。


「昔……この国は隣の国『メドレス王国』と友好関係にあった。それは知ってるか?」

陛下は振り返り私に確認する。


「……聞いた事があるかもしれないけど……今の関係は最悪だと……」


「その通り。現在は冷戦関係にあるが、何がきっかけで戦になるかわからない。だが、私の子どもの頃までは友好関係にあったんだ。それを強固なものにする為、私の婚約者はメドレスの王女に決まった」


「メリッサ様は……その王女じゃないですよね?」


「あぁ。彼女の名前はカサンドラと言った。美しい紫色の瞳にブロンドの髪。天使の様に愛らしかった」


……紫の瞳にブロンドの髪……。メリッサ様と同じだ。当然……私とも。


「だが、その間にメドレスとの関係は悪化し……私達の婚約はなくなった。だが、私達は政略結婚であっても想い合っていたんだ。お互い悲しくて、辛くて……。

そのうち彼女は国を捨てると言った。捨てて私の元へ来ると。しかし、誰がそんな事を許すと思う?いつしか彼女との秘密のやり取りも途絶え……私には新しい婚約者が決まった。わが国の公爵令嬢だ。少し私より歳上だったが、その時に適当な令嬢が他に居なくてな。

だが……彼女は本当に国を捨てて……私の元に来た。皮肉な事にその日は私と新しい婚約者のお披露目の日でね……彼女はそれを目の当たりにした」


「…………カサンドラ様は………どうなったのですか?」


「彼女は……私達の目の前で自害したよ。パレードが終わり、王宮へと戻った瞬間だった。飛び出した彼女は持っていた小さなナイフで首を切った。彼女の血が……飛び散って……私の、私の白い服は……」

そこまで言うと、陛下の手も声も震えていた。


私は思わず立ち上がり、陛下の側へ行くと彼の背中を擦った。


「陛下のせいでは……」


「いや!私のせいだ!」

と陛下は大きな声でそう言うと窓枠を拳で叩いた。



「すまない……あの時の事を思い出すと……」


「嫌な事を思い出させてごめんなさい」


「いや……君には知る権利がある。それに……そろそろ誰かに話しておきたかったんだ。私の気持ちを。私には時間がないからな」


陛下は……王国軍の敗戦を確信しているのだろうか。

陛下は大きく息を吐き出し、また話し始めた。

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