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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
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百合短編

ハッピーエンドは永遠に

作者: 転生新語
掲載日:2024/03/01

 私には三分(さんぷん)以内(いない)にやらなければならないことがあった。愛する彼女へのメッセージを残(のこ)すのだ。何(なん)だか照(て)れくさいね、こういうの。


 三分間(さんぷんかん)でメッセージを残(のこ)す、か。いいや、考(かんが)える時間もないし始(はじ)めちゃえ。私は愛する彼女に言葉(ことば)を伝(つた)え始(はじ)めた。


「ねぇ。このくらいの声で聴(き)こえる? 今、ちょっと大きな声を出せなくてね……」


 確認(かくにん)してみる。どうやら大丈夫(だいじょうぶ)みたいだ。私は安心(あんしん)して、少(すこ)しずつ言葉(ことば)を紡(つむ)いでいった。


「私たちの関係ってさ……社会の中で、認(みと)められなかったよね。住(す)んでる場所が悪(わる)かったのかな……でも私たちには住(す)む場所、暮(く)らす国(くに)の選択肢(せんたくし)も無(な)かった……ああ、話(はなし)が暗(くら)くなっちゃうなぁ。そういうことをグチりたいんじゃないの……」


 私の喋(しゃべ)り方(かた)が、たどたどしくて要点(ようてん)を得(え)ていない。しっかりしないと。傍(そば)で私の手を握(にぎ)っている彼女に愛を伝(つた)えるのだ。彼女の泣(な)き顔(がお)に、私は努(つと)めて笑顔(えがお)を見せた。


「私の命(いのち)は、もう終(お)わり……空爆(くうばく)に貴女(あなた)が巻(ま)き込(こ)まれなくて本当(ほんとう)に良(よ)かった……状況(じょうきょう)は明(あか)るくないかもしれないけど、どうか貴女(あなた)は生(い)き延(の)びて……愛してるわ。生(う)まれ変(か)わって、いつかまた、貴女(あなた)と愛(あい)し合(あ)えますように……」


 もう私には、痛(いた)みも苦(くる)しみも無(な)い。彼女の掌(てのひら)から伝(つた)わる温(ぬく)もりに包(つつ)まれて、私の魂(たましい)は肉(にく)体(たい)を離(はな)れていった。




「ありがとう、女神(めがみ)さま。死(し)に際(ぎわ)の私に、束(つか)の間(ま)の猶予(ゆうよ)を与(あた)えてくれて」


 光の中で、私は美しい女性に礼(れい)を言(い)った。状況(じょうきょう)から見れば死神(しにがみ)さんなのかなぁとも思うけれど、どちらでも構(かま)わない。『三分間(さんぷんかん)、待(ま)ってあげる。その間(あいだ)に愛を伝(つた)えなさい』と、枕元(まくらもと)から声(こえ)を掛(か)けてくれた存在(そんざい)だ。感謝(かんしゃ)しても仕切(しき)れないくらいだった。


「どういたしまして。さぁ、行(い)きましょうか。きっと次(つぎ)は、幸(しあわ)せな人生が待(ま)っているわ」


「幸(しあわ)せでしたよ、私。だって彼女と出会(であ)って、愛(あい)し合(あ)えたんですから。ねぇ、また私は彼女と会(あ)えますかね?」


「そうね。きっと会(あ)えるわ、運命(うんめい)の相手(あいて)は特別(とくべつ)だもの」




 私と彼女は再会(さいかい)する。ハッピーエンドは永遠(えいえん)だ。

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