序章の序章 2
あれから朝の習慣も終わり、朝食も終わって洗い物を終えた。
そんな寝坊助な二人は食事をして出かけていき、がらんとした店内を見回す。
ここはオーナーが経営?をしている喫茶店で、俺は住み込みの形で住んでいる。細かい話とか流れは割愛するけど、住心地は悪くない。
日頃から手入れとか掃除をしているし、それも含めての住み込みだ。オーナーは転々としているらしく、あまり帰ってこない。そのための管理者とか清潔の維持もあってお互いの利益の合致となっている。
たまに店として開くが、不定期で急なため普段はクローズと閉めている。
それから軽めの掃除をして必要なものやメモをしてから外に出る。駅前の11時だと人も増えお店も開いているので休日だと錯覚しそうだが若い子が多く見受けられる。老若男女と個々のファッションが視界に色付き、ランダムな人の動きも見慣れた。
男女比は異なる集団を邪魔にならないようにして歩を進めていく。買うのは文具やちょっとした家庭用の品々と本くらい。家事を任されていて費用もオーナーが負担するとしても、基本はスーパーやドラッグストアで買うようにしている。大手や大きい店舗にしかないときはしょうがないが、駅周辺は微妙に値段も高い気がして損した気になるのは主婦じみている。
一通りの買い物を終えて外に出れば眩しい光が網膜を訴える。若干の疲れと目の疲労を感じて日陰の壁により掛かり、コリや疲れを解すために背伸びをした。
あとは帰りにスーパーによって食材を買うくらいで、他の予定はない。
人の集団を見てもココロココニアラズで、嬉しさも感傷も浮かばない。羨ましさと後悔があるのは過去から引きずっているやつか朝の夢の影響かまでははっきりしないけど、確定のない未来のために過ごすしかない。
ーーふと視界の端に動かない人がいた。考え事をしていたし駅前での待ち合わせの人も多く居る。もう一人の少女はその子が見ている視線の先の俺を追い、疑問符を浮かべているみたいだ。
それもおかしくはないけどなんでか既視感を覚えた。
しかし視線を感じるのはその人からで、目線だけを向けると見覚えのありそうな風格。
服はシンプルで特徴はなく、髪もショートで普通・・・・・・いや、前髪が目を覆い隠す程に伸びている。一瞬後ろ姿かと錯覚して、つま先がこっちに向いているからそうなんだろう。
病んでたりやばいなら身構えてしまうけど、風貌を見て過去の記憶が蘇る。
中学の後輩で似たーーいや、うん。もしかしての本人か?
いくつの可能性を見出していると、その子がこちらに歩み寄り、付添の少女もふてぶてしく同伴している。
距離にして一メートルで対面すると、見上げる彼女を見つめる。髪に隠れた目は見えないけど、確かにこっちを見ていて固まっている俺にボソリとつぶやく。
「……ゆう?」
「そうだよ、瞳」
俺をそう呼ぶのは一人しかいない。後輩で、根暗の久しぶりに見る秋葉瞳。
それを少女は不機嫌そうに嘆息をしながら、俺達の再開を眺めていた。